著者
辻野 睦 内田 基晴 手塚 尚明 高田 宜武
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.184-195, 2020-05-15 (Released:2020-05-29)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

全国12のアサリ漁場干潟における線虫類の分布と形態的特徴について底質環境およびマクロベントス現存量との関係を調べた。線虫類の生息密度は有機物量が多く粒径が細粒部に偏り,バクテリア生菌数が多く還元的な干潟で高いと言えた。線虫類の体長や体幅は底質の粒度組成および酸化還元電位といった物理化学的な環境と関係していることが示された。線虫類とマクロベントスの湿重量には正の相関関係があり,線虫類の現存量が高いと考えられる底質環境の干潟では,アサリを含むマクロベントス現存量も高くなる傾向が認められた。
著者
辻野 睦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00042, (Released:2018-03-09)
参考文献数
24
被引用文献数
5

瀬戸内海のマクロベントス生産量は0.19-11.2 g C/m2/yearで,水深が深く,泥分率の低い有機物量が少ない底質の海域で高い傾向があった。水深が浅く泥分率の高い播磨灘,燧灘,広島湾および周防灘西部のほとんどの海域では1 g C/m2/year以下であった。大阪湾湾奥部では,水深が浅い泥底で有機物量が多いにもかかわらず生産量が最も多かった。大阪湾湾奥部や燧灘の中央部,および広島湾のマクロベントス現存量は,10-15年前に対して減少していると推察された。