著者
宇野 保子 近藤 信子 中川 早苗
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-8, 2006-06

身体装飾行為とファッション意識との関連性を検討するために,質問紙調査を実施した。調査は,平成15年12月に広島在住の大学生社会人200人を対象に,ヘアカラー,ピアスの装着,眉剃りの3つの身体装飾行為について行った。その結果,ヘアカラーの採用者は,現在と過去の経験者を合わせて約77%で, 髪を染める理由は,「気分,雰囲気を変えたい」「イメージチェンジをしたい」という変身願望につながる理由であることがわかった。ピアスの装着経験者は,38.5%にのぼり,採用の理由は,「服装,髪型に合わせて,おしゃれを楽しみたい」であり,ファッションに対する積極的な態度を見て取ることができた。一方,眉剃りについては約85%が経験しておりその理由は,他の身体装飾行為とは異なり「イメージチェンジ」や「気分を変える」ためではなく「身だしなみとして」であった。このように,今回調査したヘアカラー,ピアスの装着,眉剃りの3つの身体装飾行為は「変身願望」「おしゃれを楽しむ」「身だしなみ」とそれぞれ異なる意味合いを持ってファッションの中で採用されていることがわかった。
著者
田岡 洋子 近藤 信子 中川 早苗 H. Taoka 京都短期大学 中国短期大学 広島国際学院大学
出版者
京都短期大学成美学会
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.17-32, 2004-03

高齢社会から超高齢社会になろうとじている日本にとって、介護は注目すべき問題である。介護環境を考えるときに介護者の着装姿が身近な介護雰囲気を形成している。介護する側、される側にとって望ましい介護服が重要と考えた。介護現場でよく見かけるジャジー姿が本当によいものなのか現状を踏まえて、どのようなことを満たせばよいのか? を実際に介護施設で働いている介護者から意見を求めた。望ましい介護服の条件として重要なのは機能性・好感度・清潔感・着心地・取り扱いの簡便さ・美感の順で、イメージは「明るい」「親しみやすい」「暖かい」「シンプルな」イメージである。色はピンク、水色、白色の淡い色がよく、柄は無地に胸のワンポイントは着装者の名前の刺繍を大きくするのがよく、アイテムとしてはポロシャツにズボン、エプロンなどがよいことがわかった。
著者
田岡 洋子 近藤 信子 中川 早苗 H. Taoka 京都短期大学 中国短期大学 広島国際学院大学 Kyoto Junior College /
出版者
京都短期大学成美学会
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.11-27, 2005-03

施設介護に携わる介護者のための被服について検討するため、京都府・岡山県・大分県内の施設で介護に携わっている人を対象に配票留置法による質問紙調査を1999年および2000年の8~10月に実施した。施設への配布数は314票で、回収率82%である。介護服の評価に関する23項目への評定尺度得点を基に因子分析を行って主要な因子が抽出され、介護療養型医療施設(療養)では「素材特性」「標識性」、介護老人福祉施設(特養)では「審美性」「デザイン性」、介護老人保健施設(老健)では「活動性」の因子得点が高い値を示した。望ましい介護服のイメージについては、形容詞対18組のSD尺度への評定を基に因子分析を行い、特養は「落ち着き」と「容儀性」、老健は「カジュアル性」と「ファッション性」、療養は「親しみやすさ」「ファッション性」「カジュアル性」の因子得点が高い値を示した。望ましい介護服の色では、ピンク・水色・白などの明るく淡い色。望ましい介護服の柄は無地と回答する割合が多かった。望ましい介護服のアイテムとして、特養では、冬はトレーナー・夏はTシャツ・春秋はポロシャツなどの上衣に、下衣はジャージと回答する割合が大きかった。療養では、トレーナー、Tシャツ、ジャージの下衣、ハーフパンツの着用希望が多かった。以上のように三施設における成り立ちや歴史、施設の機能、役割が異なり、介護服に対する考え方も異なることが分かった。
著者
近藤 信子 冨氣 久江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-19, 2008-06

1990年(第1回調査)と2007年(第2回調査)に女子学生を対象に行った質問紙調査の結果を比較しながら,和服の現状と今後の在り方について検討した。調査内容は和服に対するイメージと評価である。和服に対する評価についてはファッション性・審美性・実用性・社会性の次元で項目を設定した。和服に対するイメージについては,1990年の調査結果では「好感」「女性的上品さ」「華やかさ」の3因子が抽出されたが,2007年調査の分析結果からは「儀礼性」「好感」「静的」の3因子が抽出された。女子学生は,和服の審美性について高く評価しており,和服への関心も高いことが明らかとなった。この結果については,調査年による大きな差異はみられない。ファッション性については,和服の個性的な着付けや新しい組み合わせを工夫したいとする者が2007年調査結果では多かった。和服の実用性についての評価は高くない。民族服に対する意識は1990年調査より2007年調査のほうが有意に低かった。