- 著者
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西藤 栄子
中川 早苗
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.9, pp.743-751, 2004-09-15 (Released:2010-03-10)
- 参考文献数
- 15
中高年女性の服装に対するおしゃれ意識とその根底に流れる規範意識を, 近畿圏在住の 50 歳代から 70 歳代の女性, 302 名を対象にして, 質問紙調査と服装写真提示実験によって調べた.得られた結果は, 次のようであった.1. 1) 質問紙調査の結果から, 中高年女性のおしゃれ意識と規範意識はともに高いことがわかった.1. 2) おしゃれ意識は, 年齢や外出頻度, 余暇活動の有無によって差のあることがわかった.1. 3) 規範意識については, どのような属性の中高年女性であっても高かった. とりわけ年齢が高くなるにしたがって, その意識は高くなった.1. 4) 服装の機能性や審美性に対する期待を問う服装観については, 年齢に関係なく機能性とともに「自分らしさを表現する」ことを重視しており, 中高年女性のおしゃれ意識の高まりを確認した.1. 5) その一方で, おしゃれ意識の高い人でも, 規範に応じた服装を心がけるなど, 服装規範から逸脱しない範囲で, おしゃれに積極的であることも認めた.2. 1) 服装写真提示実験によって, 質問紙調査で得られた服装規範意識の検証を試みた. その結果, 提示された服装のふさわしさに対する個人的評価は, いずれの服装でも社会的評価よりも低かった. このことから, 「世間の人は, 私以上にこの服装で良いと考えていると思うが, 私自身は, 世間の人ほどふさわしいとは思わない」という意見をもっている実態を確認した.2. 2) 各場面における服装のふさわしさに対する社会的評価と個人的評価との評定平均値の差は, 規範意識の低い人ほど大きかった. つまりこの差が大きいほど, 「世間の人はこの服装でよいと考えていると思うが, 私自身はそうとは思わない」という意識の強いことを表していることになり, この傾向は, 年齢が低いほど, 中都市よりも大都市に住む人で, 大きかった.したがって, これらの人ほど, 服装規範への同調性が弱くなっていることが確かめられた.