著者
鈴木 修司 近藤 浩史 古川 顕 河井 健太郎 山本 雅一 平田 公一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.177-185, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
62
被引用文献数
2

非閉塞性腸管虚血(NOMI)は,腸間膜血管に器質的閉塞が存在しないにもかかわらず,腸間膜虚血や腸管壊死を呈する疾患である。1974年Siegelmanらによる血管造影を用いた診断基準がgold standardであったが,最近のmultidetector-row computed tomographyの普及や超音波検査の進歩により腸管虚血を客観的に評価しうる検査法の精度が向上してきたため,新診断基準の確立が望まれている。NOMIは早期に特異的な症候はなく,重症化して診断されるため,一般に予後不良である。NOMIと診断されれば,腹膜刺激症状がない場合は血管拡張薬血管内投与の適応となるが,腹膜刺激症状をきたし,腸管壊死が疑われる場合には外科手術が必要であり,NOMIの診断の標準化と治療の新たなアルゴリズムの構築が望まれる。

4 0 0 0 OA 骨盤骨折のIVR

著者
近藤 浩史 棚橋 裕吉 大澤 まりえ 山本 敬洋 横山 太郎 菅原 利昌 古井 滋
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1061-1067, 2016-09-30 (Released:2017-01-18)
参考文献数
17

高エネルギー外傷による重傷骨盤骨折は,出血性ショックの原因となる後腹膜血腫や合併損傷,多発外傷を生じる重篤な状態を引き起こし,死に至ることも少なくない。高エネルギー外傷では骨盤正面X線写真を系統的に読影し,すみやかに治療戦略を立てる。骨折部の安定化や止血術には簡易固定法,創外固定,骨盤パッキング,動脈塞栓術がある。動脈塞栓術は広く普及し,その有用性が報告されている。骨盤骨折の診断,治療方法を理解することは重要であり,本稿では骨盤骨折の診断から動脈塞栓術の方法について概説する。
著者
橋本 憲輝 近藤 浩史 衛藤 隆一 小佐々 博明 清水 良一
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.261-265, 2009-12-31 (Released:2010-01-28)
参考文献数
10

症例は61歳,女性.2008年12月,当院内科にて検診目的で下部消化管内視鏡検査(colonoscopy,以下CS)が施行された.3日後に軽度の嘔気・下腹部違和感を認めたが,経過観察されていた.7日後,腹痛が増悪したため,同科を再診した.腹部骨盤単純CT検査により穿孔性腹膜炎と診断され,加療目的で当科へ紹介された.当科受診時,腹部にやや膨満があり,全体的に圧痛,反跳痛を認めた.腹部骨盤単純CT検査では腹腔内に遊離ガスが散見され,腹水も認めた.結腸穿孔ならびに急性汎発性腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.手術所見では,直腸RS部近傍のS状結腸に腸間膜経由での穿孔を認め,腸間膜内には多量の便塊,便汁が貯留していた.穿孔部より口側でS状結腸と骨盤腔内左卵巣近傍の壁側腹膜との間で強固な線維性の癒着を認めた.術式は急性汎発性腹膜炎手術,S状結腸切除術,人工肛門造設術(ハルトマン手術)を施行した.術直後から急性呼吸窮迫症候群を発症したが,集中治療により軽快した.術後第52病日に独歩にて自宅退院された.2009年3月当科にて人工肛門閉鎖術を施行した.CS施行後,汎発性腹膜炎の発症が7日目である稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
近藤 浩史 與五澤 守 成瀬 道紀 森 正和
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

従来,経済動向を把握するために政府や中央銀行が発表する統計が使用されてきた.これらの統計は,調査時期と結果の公表時期にずれが発生するため,速やかに経済動向を把握するためには,統計を補完でき,かつ速報性のある新しい指標が必要となってきている.本研究では,金融機関が作成した膨大なテキストデータを分析することで,景気センチメントの定量化を試みた.その結果,テキストデータから計測した景気センチメントは,日銀短観と高い相関を示すことが分かった.また,事前に予測できないイベントが発生した場合の景況感について,速報性がある可能性を示唆した.