- 著者
-
近藤 真紀
- 出版者
- Japanese Society of Environmental Infections
- 雑誌
- 環境感染 (ISSN:09183337)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.4, pp.316-324, 2000-11-09 (Released:2010-07-21)
- 参考文献数
- 29
近年, 否定的であるにもかかわらず, いまだに日本では三方活栓 (以下三活とする) が使用されている頻度は高い. 一般的に三活注入口はエタノール清拭で消毒を行っていたが, 近年, エタノール噴霧消毒 (以下噴霧消毒とする) を行う施設がみられ, 噴霧法が臨床において有効という報告もある. この報告から注入口からの菌侵入する確率は低く, 三活が感染因子となる理由は注入口以外にあるのではないかと考え, 注入口とともに三活の輸液が流れているライン側 (以下ライン側とする), 三活内腔のコックの回転する部分 (以下コック部とする) の細菌付着について明らかにすることとした. その結果, 注入口への噴霧消毒は, 菌液として使用したS. epidermidisについては有効であったが, Bacillus spp. に対する限界が残された. ライン側, コック部の細菌付着が認められた. このことから, 注入口は噴霧消毒によって菌の管内侵入のリスクを下げることができるが, ライン側やコック部については管外から菌付着防止対策をとることは難しいことが示唆された. しかし, 実験の結果は高濃度の菌液を使用しているため, 直接臨床への応用については限界があるが, 輸液ライン由来感染防止のため三方活栓使用の見直しや, 接続部分を最小限にすること, 薬液作成の環境の見直し, 薬剤部への輸液調剤依託など他職種と連携を図る必要があると考えた.