著者
梶川 拓馬 前田 一敏 桑本 康生
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.95-100, 2015

本研究の目的は,高齢の統合失調症患者が超長期入院生活の中で何を楽しみとして日々を生きているのかを明らかにすることとした。 研究方法は記述的探索的デザインとした。対象者は,民間精神科病院に入院する65 歳以上の統合失調症患者であり,入院期間が10 年以上にわたり継続して現在に至る人達を対象とした。半構成的面接法を用いて,ありのままの言葉で楽しみについて語って頂いた結果,3つのカテゴリーと7つのサブカテゴリーが見出された。 統合失調症患者は,《懐かしさに感じる心の安寧》,《病棟生活の中でつくりあげる夢見心地》,《他者とともに過ごす時間の交流》から楽しみをつくりあげている事が明らかとなった。資料
著者
森田 深雪
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-18, 2012

本研究の目的は,在日韓国・朝鮮人(以下,在日)認知症高齢者の家族介護者がかかえるストレスの背景を明らかにすることである。在日認知症高齢者の家族介護者6人に半構成的面接を実施し,得られたデータについて記述的探索的に分析を行なった。その結果,在日認知症高齢者の家族介護者がかかえるストレスは【出口の見えない嫁・姑の家族関係】の中で【家父長的支配と忍従】を強いられながら,【在日の閉鎖的生活環境】での介護であること,そして【異文化ケアへの配慮のなさ】や【在日ゆえの介護保険サービスの利用しにくさ】が【朝鮮民族女性としてのプライドと,「在日」として生きる現実との葛藤】に関連してストレスを増大させていた。また,【介護に対する否定的認知】や【仕事と介護の両立】も介護ストレスの背景となっていた。
著者
宗内 桂 村田 由香 藤井 知美 渡邊 智恵
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.13-24, 2020

A大学の総合看護実習は,学生が事前に自己の実習目標と計画を立案し,実習中に実習指導者と計画内容を調整しながら主体的に実習目標到達に向けて取り組むことが求められる。総合看護実習の課題として,①経験のない実習方法に学生が戸惑うこと,②学生が求められる学習内容を理解して実習に臨めないこと,③実習目標に対する具体的な評価指標がないことがあった。そこで,平成29年度より実習目標の評価基準を具体に示したルーブリックを導入し,学生と教員が認識した学習効果と課題を2年間継続して明らかにした。その結果,≪自発的学習課題への動機づけ≫ ≪根拠に基づく自己評価の実践≫ などの学習効果が得られ,ルーブリックが実習課題を解決するための有用なツールであることが示された。一方,ルーブリック導入による課題は,≪評価基準と実習内容との相違≫ ≪不十分な理解による不適切な自己評価≫などがあり,改善に向けた対応の必要性が示された。研究報告
著者
松原 みゆき
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-46, 2014

本研究の目的は,訪問看護ステーションに勤務する管理者のやりがいと困難を構成する要素を明らかにすることであった。管理者9名を対象に,半構成的面接を行った。管理者のやりがいは[訪問看護ケアの提供から得られる喜び]を根底とし,[スタッフから得られる喜び],[よい評価をされる喜び],運営・経営まで[全てのことを采配できるおもしろさ]で構成された。困難を構成する要素は,[スタッフ管理の難しさ],[母体法人との関係作りの難しさ],[労働環境の不整備による負担],[全てのことに負わないといけない責任の重さ],[管理者ゆえの孤独感],[離職意向が生まれる困難]であった。また,管理者のやりがいや職務継続意思を高め支えるものとして,やりがいをサポートする要素と困難を克服するための要素が抽出された。やりがいをサポートする要素は,[スタッフとの良好な関係],[自分の理想のステーションを作る使命感],[小さな目標達成の積み重ねによる達成感]であった。困難を克服するための要素は,[管理者仲間がいる],[職場外の訪問看護師仲間がいる],[スタッフとコミュニケーションをとる],[仕事以外の時間をとる]であった。以上のことから,管理者がやりがいを持ち,職務を継続していくための支援として,やりがいを高めるための支援体制の整備,職場内で業務を分担できるスタッフの育成や管理者仲間とのネットワーク作りなどの必要性が示唆された。研究報告
著者
山口 扶弥 飯村 富子 森本 千代子
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-9, 2007

本研究の目的は乳幼児をもつ母親の「子供の感染症予防意識・行動」を明らかにし、感染予防に関する看護活動を検討するための基礎資料とすることである。研究対象はH市の4ヶ月・1歳6ヶ月・3歳6ヶ月健診に受診した母親に対し、感染症のイメージや知識、予防接種状況、衛生面に関する意識・行動について、2005年11月から12月にアンケート調査を実施した。その結果有効回答数(率)は、4ヶ月87名(95%)、1歳6ヶ月83名(88%)、3歳6ヶ月93名(93%)であった。母親の意識・行動の実態として、1.各感染症を「怖い」とする母親が多かった。2.予防接種の接種率と必要性の意識が高かった。3.母親の感染予防意識は高く、「帰宅時・食前・食後の手洗い」は、「母親の意識・行動・子供ヘの関わり」間に関連がみられた。4.「帰宅時のうがい」は、感染の危険を感じた時にとられる行動であると示唆された。今回の結果を母親の意識、行動変容を促す保健指導に活かしたい。
著者
三味 祥子 実藤 基子 吉田 和美
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.37-44, 2012

初回臨地実習に臨む1年次看護学生が,自分たちで作成したチェックリストを活用したことで,学生が接遇やマナーをどのように意識し,捉えたかについて分析し,今後の接遇教育への示唆を得ることを目的とした。結果は,【服装や髪型に清潔感を意識し学生らしく整えた身だしなみ】,【コミュニケーションを積極的に行う気持ちを持ち続け築けた患者との関係性】等の6つのカテゴリーを初回臨地実習の接遇やマナーで良くできたと感じ,【学生としての基本的なマナーの再認識】,【実習で学ぶ学生として大切と感じた積極的な姿勢】等の6つのカテゴリーを次回臨地実習へ向けた自己課題としていた。接遇・マナーを実践することは,患者に安心感を与え,患者との信頼関係が結ばれることにつながる。よって,これからも学生が臨地実習で接遇・マナーを実践し,人間関係を豊かにできる人材となるよう接遇における教育開発を実践していく必要性があることが示唆された。
著者
三味 祥子 実藤 基子 吉田 和美
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.37-44, 2012

初回臨地実習に臨む1年次看護学生が,自分たちで作成したチェックリストを活用したことで,学生が接遇やマナーをどのように意識し,捉えたかについて分析し,今後の接遇教育への示唆を得ることを目的とした。結果は,【服装や髪型に清潔感を意識し学生らしく整えた身だしなみ】,【コミュニケーションを積極的に行う気持ちを持ち続け築けた患者との関係性】等の6つのカテゴリーを初回臨地実習の接遇やマナーで良くできたと感じ,【学生としての基本的なマナーの再認識】,【実習で学ぶ学生として大切と感じた積極的な姿勢】等の6つのカテゴリーを次回臨地実習へ向けた自己課題としていた。接遇・マナーを実践することは,患者に安心感を与え,患者との信頼関係が結ばれることにつながる。よって,これからも学生が臨地実習で接遇・マナーを実践し,人間関係を豊かにできる人材となるよう接遇における教育開発を実践していく必要性があることが示唆された。
著者
小泉 直子 コイズミ ナオコ
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.115-116, 2012

日時:平成23年10月14日(金)場所:日本赤十字広島看護大学 ソフィアホール講師:Dr.Andrea Baumann(アンドレア・バーマン先生 マクマスター大学)通訳:小泉直子
著者
岡田 淳子 深井 喜代子 オカダ ジュンコ フカイ キヨコ
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-27, 2006

本研究の目的は、入院患者の手指汚染の実態を明らかにし、効果的な手指清潔ケアの方法を検討することである。研究対象は活動制限のある患者9名(活動制限群)と制限のない患者7名(自立群)とした。患者の生活時間を睡眠、午前、昼食、午後の4つに区分し、各区分開始前に手指消毒を実施し、区分終了時点の起床時、11時、昼食後、16時の計4回、手型寒天培地に患者の手掌付着菌を採取した。検体は37℃で24時間培養し、細菌コロニー数と菌種を調べた。その結果、活動制限群5名と自立群4名から黄色ブドウ球菌が検出された。両群とも起床時と昼食後にコロニー数が有意に増加していた。また、全区分において自立群より活動制限群の方が手指汚染の程度が高い傾向にあった。以上のことから、入院患者の手指清潔を強化する必要のあること(特に昼食後)、また、ベッド上生活で自ら手洗いができない活動制限のある患者の効果的な手指清潔ケアの方法を今後検討していく必要のあることが示唆された。
著者
植田 喜久子 滝口 成美 宮武 広美 吉野 純子 飯村 富子 野村 美香 近藤 真紀 中信 利恵子 藤田 佳子 永井 真由美 五嶋 育子 成田 伸 ウエダ キクコ タキグチ ナルミ ミヤタケ ヒロミ ヨシノ ジュンコ イイムラ トミコ ノムラ ミカ コンドウ マキ ナカノブ リエコ フジタ ヨシコ ナガイ マユミ ゴトウ イクコ ナリタ シン
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.55-63, 2002

本研究の目的は、日本人の壮年期にある女性の健康的なライフスタイルを査定する質問紙を開発し、その信頼性と妥当性を検討することである。 最初に4段階のリッカートスケールをもつ47項目からなる質問紙を開発した。質問紙は、ブレスローやペンダーの理論や日本人の壮年期にある女性に関する研究を基礎として作成した。予備調査の後、2001年5月から6月に本調査を行い、572名の女性から回答を得た。信頼性や妥当性をクロンバックのα係数、主成分分析、ライフスタイル総得点の分布、ライフスタイル得点と森本のHPI得点との相関係数により検討した。その結果、クロンバックのα係数は、0.88であり、7つの下位尺度と29項目が得られた。これらの下位尺度と因子分析前の下位尺度には、「食事」、「運動・休養」、「健康への関心」では一致がみられ、構成概念妥当性はある程度確保されていると考えられた。このライフスタイル指標は、ある程度の信頼性や妥当性を得ており、日本人の壮年期女性のライフスタイル指標として、心理的、社会的な側面や価値観を考慮した尺度であると考えた。今後の課題として、日本人の壮年期女性の体験をふまえながら、洗練したライフスタイル指標を作成していく必要がある。