著者
速水 則行 田中 英一 山本 創太 武内 浩樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-34, 2006 (Released:2017-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

動作解析において, これまであまり考慮されてこなかった筋疲労の影響を検討するため, 従来の力学的な筋モデルと組み合わせて使用する筋疲労モデルを開発した. そのため, 運動単位に着目し, それらを活性状態, 疲労状態により四つの状態に分割し, その状態変化を微分方程式により表現した. さらに, 代謝特性や疲労耐性の違いから三つの運動単位タイプに分割し, 運動単位の動員様式にはサイズ原理を取り入れてモデル化した. モデルの妥当性を検討するため, 先行研究や動的条件の疲労実験結果との比較を行ったところ, 筋疲労の特徴が再現できることを確認した. また, 各運動単位タイプの動員タイミング, 疲労の進行など, タイプ毎の特性の違いを再現できることが分かった.
著者
高橋 英之 速水 則行 内山 祐司 石川 悟 大森 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.177-182, 2009-03-04
被引用文献数
2

自動車運転において,人間は様々な危険を知覚しながら運転行動を行う.運転中の危険知覚は,運転場面に存在する不確実性だがありうる危険の知覚と,確実に生じる危険の知覚,という二つの脳過程が関わっていると考えられる.今回の研究ではこれらの脳過程に関わる脳部位特定の為に,自動車運転場面のシミュレータにおいて被験者が感じる衝突に対する不確実性を被験者の衝突判断から定量化し,不確実性が大きい場面における衝突判断時の脳活動と,確実に危険が生じると判断可能な場面における脳活動をそれぞれfMRIにより計測することを試みた.その結果,不確実性が大きい場面における衝突判断には前頭葉内側部が関わっていることが示唆された.また統計的には弱い結果であるが,確実に危険が生じると判断可能な場面においては島皮質に賦活傾向がみられる.この結果は,先行して行われてきた神経経済学の研究の知見と矛盾しないものであり,今後,自動車運転のような複雑な認知タスクの理解においても神経経済学的知見を応用することが可能であるという示唆を得た.