著者
草地 功 逸見 千代子 逸見 吉之助
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.267-275, 1984-07-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
15
被引用文献数
10 20

岡山県川上郡備中町布賀にはゲーレン石・スパー石スカルンが発達している。そのうち道路際露頭と称されている露頭のスパー石スカルン中に大江石を含む輻 1-3cm の細脈を見出した。共生鉱物としては大江石の他に,バルトフォンテイン石,スコート石,ゾノトラ石,方解石がある。大江石とスコート石はスパー石スカルン形成後の割目充填鉱物として初生的に生成され,脈中では中心部のスコート石帯の両側に,各々が 1-3mm の幅で交互に2条ずつ配列する対称的な帯状構造を示している。バルトフォンテイン石,ゾノトラ石は大江石,スコート石生成後の作用により,スコート石から二次的に生成されたものである。 この論文は大江石,パルトフォンテイン石,スコート石についての化学組成, X 線粉末回折値,光学的性質および物理的性質を求めるとともに,大江石を含む脈の構成鉱物の生成過程を考察した。