- 著者
-
道関 京子
- 出版者
- 日本コミュニケーション障害学会
- 雑誌
- コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.1, pp.17-22, 2006-04-30 (Released:2010-04-21)
- 参考文献数
- 35
全体構造法はテクニックでもhow-toでもなく,人間を知覚の全体構造体としてとらえ,その全体構造体である人間の意識活動の一つである言語活動,およびその発展(高次化)という基本認識から言語障害臨床を体系化したものである.本理論と実践である具体的手段について概説した.言語高次化の原動力である知覚の構造化を進めるためには,(1)知覚の性質,(2)言語知覚構造化階層の成り立ち,さらに(3)言語障害者の現知覚段階についての正確な判定,に関する言語発達学,心理学,言語心理学,神経心理学の知識が必須である.よって全体構造法を行う言語聴覚士は,人間を全体精神とみる専門家として知識と観察力が要求される.その上で臨床場面において具体的手段を各障害者の知覚構造化に合わせた最適刺激,すなわち障害者自らが能動的に高次化を進める刺激を設定していくことができるのである.