著者
渡辺 修 米本 恭三 宮野 佐年 小林 一成 河井 宏之 大熊 るり
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.48-52, 1998-01-18
被引用文献数
2

We report a case of cerebral contusion in a patient with ventricle peritoneal shunt(VP shunt) caused by a simple fall. Described is a 50-year-old man admitted with left thalamic hemorrhage with resultant severe consciousness disturbance and right hemiparesis. Although his general condition and consciousness were improved after conservative treatments, two weeks later decrcased mental status and anisocoria were noted. Head computed tomography(CT) scan revealed hydrocephalus which needed VP shunt following emergent ventricular shunting. After that, intensive rehabilitation programs were started. Independent ambulation was not achieved, however he was enable to transfer with minimal assistance. CT scan showed that the size of ventricular system was extremely reduced, which is so called "slit like ventricle." During transfer from his bed to the chair he fell and his head hit the bed. Immediately after that, he fell into deep coma state. CT scan showed left subdural hematoma, contusion and diffuse brain swelling. Overdrainage is a rare complication in VP shunt, however it caused a catastrophic event followed by traumatic brain injury.
著者
武原 格 一杉 正仁 渡邉 修 林 泰史 米本 恭三 安保 雅博
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.247-252, 2016-03-18 (Released:2016-04-13)
参考文献数
14
被引用文献数
11 8

はじめに:脳損傷者の自動車運転再開に必要な高次脳機能の基準値の妥当性を検証するために実態調査を施行した.方法:2008年11月~2011年11月までに東京都リハビリテーション病院に入院し運転を再開した脳損傷者を基準値群,2011年12月~2012年11月まで同院に入院し運転を再開した脳損傷者を検証群とした.検証群の高次脳機能検査結果より暫定基準値の妥当性を検討した.結果:基準値群は29名,検証群は13名であった.検証群のうち高次脳機能検査結果がすべて基準値内である脳損傷者は9名(69.2%)であった.暫定基準値を下回った高次脳機能検査項目は,1名はMMSEおよびTMT-A,1名はWMS-Rの視覚性再生および視覚性記憶範囲逆順序,2名はWMS-Rの図形の記憶であった.結論:机上検査結果は運転再開可否の目安となるが絶対的基準とは言えず,症例ごとに運転再開の安全性について検討すべきである.
著者
山内 秀樹 米本 恭三
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.212-217, 1997-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

廃用後の適切なリハビリテーションに関する基礎的資料を得ることを目的とし,活動制限解除後の筋機能の回復に及ぼす等尺性運動の効果を若齢期と老齢期において検討した.若齢,老齢期ともに活動制限に伴いヒラメ筋重量,最大張力,単収縮の収縮・弛緩時間の減少が認められた.活動制限解除後の最大張力の回復は若齢期と老齢期で差がみられず,また最大張力の回復に及ぼす運動の効果も認められなかった.一方,収縮・弛緩時間の回復は若齢期に比べ老齢期で遅延し,運動により促進される傾向が認められた.以上の結果は老齢期における廃用後の筋機能の回復に対するリハ訓練の重要性を示唆する.
著者
松田 雅弘 野北 好春 妹尾 淳史 米本 恭三 渡邉 修 来間 弘展 村上 仁之 渡邊 塁 塩田 琴美 高梨 晃 宮島 恵樹 川田 教平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI1026, 2011

【目的】<BR> 脳卒中において利き手側の片麻痺を呈した場合、麻痺の程度が重度であれば非利き手側でADL動作を遂行することとなるため、リハビリテーションの一環として利き手交換練習が実施されている。利き手側で同様の運動を獲得していたとしても、非利き手での運動を学習する一連の経過は新規動作の獲得と同様に時間を要する。しかし、その動作習得過程で、どのようなリハビリテーションの手法を用いることの有効性に関するニューロイメージングの視点からの知見は少ない.そこで今回,健常者における非利き手での箸操作の運動時、イメージ時、模倣時の脳神経活動を検出した。<BR>【方法】<BR> 対象は、神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)である。<BR> 課題は3種類設定し、第1課題は開眼にて左手にて箸を把持して箸先端を合わせる運動の課題(運動課題)、第2課題は左手で箸を持っている映像をみせて実際に箸操作運動を行わずに、箸操作を行っているときをイメージさせる課題(運動イメージ課題)、第3課題は左手で箸操作を行っている映像をみながら運動課題と同様の箸操作運動を行う課題(模倣課題)とした。スキャン時間はこれらの課題および安静を各々30秒間とし,3種類の課題はランダムに配置し,各課題間は安静を挟む(ブロックデザイン)ようにして撮像した。測定装置はPhilips社製3.0T臨床用MR装置を使用した。測定データはMatlab上の統計処理ソフトウェアSPM2を用いて集団解析にて被験者全員の脳画像をタライラッハ標準脳の上に重ね合わせて,MR信号強度がuncorrectedで有意水準(p<0.001)をこえる部位を抽出した。<BR>【説明と同意】<BR> 全対象者に対して、事前に本研究の目的と方法を説明し、研究協力の同意を得た。研究は共同研究者の医師と放射線技師の協力を得て安全面に配慮して行った。<BR>【結果】<BR> 運動課題では両側感覚運動野、補足運動野、下頭頂小葉、大脳基底核、小脳、前頭前野、右Brodmann area(BA)44の賦活が認められた。運動イメージ課題では、右感覚運動野、両側補足運動野、上頭頂小葉、下頭頂小葉、BA44、大脳基底核の賦活がみられ、運動課題でみられた左感覚運動野と両側小脳の活動が消失した。模倣課題では、両側感覚運動野、補足運動野、上頭頂小葉、下頭頂小葉、BA 44、左前頭前野の賦活が認められた。<BR> 最も広範囲に賦活が認められたのは運動課題で、次に模倣課題であり、両課題とも両側運動関連領野の活動がみられた。運動イメージ課題が最も活動範囲は狭かったが、運動の実行がなくても運動関連領域の活動が認められた。さらに模倣課題時、運動イメージ課題時とも下頭頂小葉、BA 44の活動が両側広範囲にみられた。<BR>【考察】<BR> 運動イメージ課題時、模倣課題時にはミラーニューロンに関連する領域の広い活動が確認された。補足運動野、前頭葉の活動など、感覚運動野に入力する前運動野の活動が広く確認され、運動学習を遂行する上で必要な部位の活動が確認された。模倣課題時は広範囲に活動が認められ、見本を教示しながら動作を指導する方が、活動範囲が広範囲でありリハビリテーションに有用であることが示唆された。イメージ動作でも同様に狭小ではあるが運動関連領野の活動が認められ、運動開始以前に運動イメージを行わせることが重要であることが示唆された。運動イメージで運動を開始する準備を行い、模倣動作を促すことで広く運動関連領野の活動性を向上させることから、リハビリテーション医療の治療では、運動の実行のみではなく画像を提示したり、イメージを繰り合わせた方法が有用であることが示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 機能的MRIなどによって非侵襲的に脳活動を捉えられるようになったが、その研究手法は実際のADL動作と直結しているものではなく、閉鎖的な実験環境上の問題でタッピングなどの動作を主体としているため、ADL動作時の脳内活動の検討は不十分であった。今回実際にADL動作を行い,リハビリテーション治療で行われている手法に関してニューロイメージングの視点から知見を報告した。リハビリテーション医療の治療の中で、運動の実行のみではなく画像を提示したり、イメージを繰り合わせた方法の有用性が本研究より示唆された。
著者
猪飼 哲夫 米本 恭三 宮野 佐年 小林 一成 福田 千晶 杉本 淳 安保 雅博
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.569-575, 1992-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
32
被引用文献数
10 9

脳卒中片麻痺患者にともなう肩関節亜脱臼の座位におけるX線学的評価を行い,経時的変化について検討した.骨頭下降率とAHI(肩峰骨頭間距離)比の間には有意の相関を認めた.胸椎部の側弯は亜脱臼群の約4割に認められ大多数は麻痺側凸を呈していたが,肩甲骨の下方回旋はわずか1例のみであった.肩関節痛とROM制限は亜脱臼群に多く,6ヵ月以上経過した症例に特に多く観察された.初診時にBrunnstrom stageがIII以上の症例に,また片麻痺の回復によりstageが上がってくる症例に亜脱臼が改善する傾向が認められた.亜脱臼が改善する症例が存在することは,早期の亜脱臼に対して,ポジショニングや筋促通の必要性が示唆された.
著者
松田 雅弘 渡邉 修 来間 弘展 村上 仁之 渡邊 塁 妹尾 淳史 米本 恭三
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.117-122, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
22
被引用文献数
8 5

〔目的〕脳卒中により利き手側の片麻痺を呈した場合,利き手交換練習を行うことが多い。そのため健常者における非利き手での箸操作の運動時,イメージ時,模倣時の脳神経活動を明らかにした。〔対象〕神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)とした。〔方法〕課題は,左手箸操作運動課題,左手箸操作イメージ課題,左手箸操作の映像をみながら箸操作運動課題(模倣課題)の3種類とし,その間の脳内活動を3.0T MRI装置にて撮像した。〔結果〕運動課題では左右感覚運動野・補足運動野・小脳・下頭頂小葉・基底核・右Brodmann area 44が賦活した。イメージ課題では,運動課題と比べ左感覚運動野・小脳の賦活が消失していた。模倣課題では,左右感覚運動野・補足運動野・上下頭頂小葉・Brodmann area 44が賦活した。〔結語〕イメージ課題と模倣課題には,運動課題時に賦活する領域を両課題とも補う傾向にあることから,箸操作訓練の際には運動課題のみではなく両者を取り入れて行う意味があることが示唆された。
著者
道関 京子 門脇 大地 米本 恭三
出版者
Japanese Association of Communication Disorders
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.147-156, 1995-12-25
参考文献数
30
被引用文献数
2

全体構造的言語治療(ヴェルボトナル体系)を概括し,これを日本語臨床に適用するため独自の方法論の展開を考察し,最後にそれを重度失語症患者に施行した結果について述べた.本法は,経験と切り離さないやり方で,つまり人間生活活動の動的な本質を取り込んだ科学的言語治療の方法論である.VTSの考え方の基本に忠実に沿って組み立てた,日本語失語症治療の一つの試みと可能性を述べ,全体構造としてしか機能しない人間に対する,言語治療研究の必要性について訴えた.
著者
松田 雅弘 渡邉 修 来間 弘展 村上 仁之 渡邊 塁 妹尾 淳史 米本 恭三
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.117-122, 2011
被引用文献数
5

〔目的〕脳卒中により利き手側の片麻痺を呈した場合,利き手交換練習を行うことが多い。そのため健常者における非利き手での箸操作の運動時,イメージ時,模倣時の脳神経活動を明らかにした。〔対象〕神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)とした。〔方法〕課題は,左手箸操作運動課題,左手箸操作イメージ課題,左手箸操作の映像をみながら箸操作運動課題(模倣課題)の3種類とし,その間の脳内活動を3.0T MRI装置にて撮像した。〔結果〕運動課題では左右感覚運動野・補足運動野・小脳・下頭頂小葉・基底核・右Brodmann area 44が賦活した。イメージ課題では,運動課題と比べ左感覚運動野・小脳の賦活が消失していた。模倣課題では,左右感覚運動野・補足運動野・上下頭頂小葉・Brodmann area 44が賦活した。〔結語〕イメージ課題と模倣課題には,運動課題時に賦活する領域を両課題とも補う傾向にあることから,箸操作訓練の際には運動課題のみではなく両者を取り入れて行う意味があることが示唆された。<br>
著者
松田 雅弘 渡邉 修 来間 弘展 津吹 桃子 村上 仁之 池田 由美 妹尾 淳史 米本 恭三
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.387-391, 2006 (Released:2007-01-11)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

手指対立運動時の感覚運動野(sensorimotor cortex: SMC)の賦活の左右差を,機能的MRIを用いて検討した。対象は右利きの健常成人12名で,1秒間に1回の速度で連続的に手指対立運動を自発的に行う課題を右手,左手各々において行った。右手,左手運動時の対側SMCの平均賦活信号強度は,右手運動より左手運動で有意に高かった(右手,左手,各々11.68,16.82, p<0.05)。さらに,右手運動時は対側SMCのみに賦活が見られたのに対して,左手運動時は両側SMCに賦活がみられた。以上の結果は,巧緻性の低い左手は右手に比べ、多くの神経活動を必要とすることを示唆している。
著者
背山 洋右 SALEN GERALD SHEFER SARAH BJOERKHEM IN 笠間 健嗣 久保田 俊一郎 穂下 剛彦 米本 恭三 BIOERKHEM Ingemar KASAMA Takeshi EGGERTSEN Go BJORKHEM Ing TINT Stephen SHEFER Sarah SALEN Gerald 永田 和哉 清水 孝雄 BUCHMAN Mari
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

脳腱黄色腫(CTX)は先天性脂質代謝異常症で,コレステロールから胆汁酸に至る経路の酵素が障害されて,小脳やアキレス腱における黄色腫,小脳症状,白内障などの症状があらわれる。1937年にvan Bogaert等により報告されたのに始まるが,我が国では1969年の柴崎の報告が第1例である。この疾患の成因と遺伝子における異常を明らかにすることを目的として,1)患者から得られた線維芽細胞について欠損酵素である27位水酵化酵素をコードする遺伝子の解析と,2)疾患モデル動物の作製実験を行った。1.CTXにおける遺伝子異常の解析:スウエーデンのカロリンスカ研究所のBjoerkhemとの共同研究で,日本側からは米本恭三(慈恵医大),穂下剛彦(広島大・医)と久田俊一郎(東大・医)が関わった。CTX患者の線維芽細胞を培養して,RNAを精製し,ステロール27位水酸化酵素の活性に関与するアドレノドキシン結合部位とヘム補酵素結合領域を対象に,RT-PCR法により増幅した。得られた産物をシークエンスして,Russellにより報告されたcDNAの塩基配列と比較した。鹿児島大学で見つかった5人の患者について塩基配列の解析を行ったところ,何れもヘム補酵素結合領域である441番目のアルギニンをコードするコドンに異常があることが明らかになった。1人の患者では更に445番目のアミノ酸をコードする部位に1塩基の欠失が認められた。このうち,アルギニンがグリタミンに置換されている患者では制限酵素Stu Iによる切断部位が新たに生ずるので,RT-PCR産物について切断パターンから診断が可能になった。また,アルギニンがトリプトファンに置換された患者ではHpa IIによる切断部位が無くなるので,遺伝子診断が可能であることがわかった。家系によって遺伝子異常が異なっていたことは,それぞれの家系について予備実験が必要なことを意味しており,今後のスクリーニングの実施に当たってはこの点の配慮が必要となった。2.CTX疾患モデル動物の作製:アメリカのニュージャージ医科歯科大学教授のSalenおよびSheferとの共同研究であり,日本側では笠間健嗣(東京医科歯科大・医)が携わってきた。CTX患者では血清中のコレスタノール(ジヒドロコレステロール)濃度が上昇する高コレスタノール血症が見られる。マウスに高コレスタノール食を投与すると,CTX患者に準じた高コレスタノール血症がもたらされ,それに伴って角膜変性症などが引き起こされることを既に観察してきた。今年度は胆石形成が見られる現象に着目し,生化学的検討を行った。1%コレスタノール食をBalb/cマウスに14か月にわたって投与したところ,20%の頻度で胆石形成が見られ,同時に胆嚢の壁の肥厚,血管拡張などの炎症症状を呈していた。この胆石を分析したところ,コレスタノールが55%,コレスタノールが45%であり,この組成は胆嚢胆汁中の両者の組成と一致していた。一方,コレスタノール食を投与したマウスの胆汁から結晶が析出し,この結晶を走査電顕を用いて観察したところ,その形はコレステロールの結晶とは異なる正方形の滑らかな表面をもっていることがわかった。肝臓のHMG-CoAレダクターゼおよび7α-ヒドロキシラーゼを測定したところ,前者は51%上昇した反面,後者は59%低下していた。また,1%コレスタノール食を13か月間与えた後,1か月間標準食に戻したところ,上昇した血清と肝臓のコレスタノール値は低下し,この両酵素活性は正常値に戻った。これらの結果は,コレスタノールの増加によりHMG-CoAレダクターゼが誘導され,7α-ヒドロキシラーゼが抑制されたことを示唆している。この両酵素はコレステロール生合成と胆汁酸生合成系の律速度酵素であるが,コレスタノールの両酵素に及ぼす影響が相まって胆石形成を引き起こしたものと考えられる。今回のモデル動物の作製はコレスタノールと胆石の関係を明らかにするうえで意義のあるものであり,本疾患の病態解明に役立つものと期待される。日本,スウエーデン,アメリカの3国間で実施した,本研究はそれぞれの研究チームの特色を生かして,CTXという疾患の病態解明を行い遺伝子レベルにおける診断の可能性を示した点で大きく貢献したといえよう。
著者
山内 秀樹 米本 恭三
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.46-51, 1997-01-18
被引用文献数
11

若年(4カ月齢), 老齢(20カ月齢)ラットに後肢懸垂を実施し, 骨格筋の萎縮に対する活動制限期間中の等尺性運動の影響を収縮張力の変化から検討した。ヒラメ筋の湿重量, 最大張力は若年, 老齢期ともに後肢懸垂により著しく低下し, その低下率に加齢の影響はみられなかった。後肢懸垂に伴う最大張力の低下に対する等尺性運動の軽減効果は老齢期に比べ, 若年期で高い結果であった。以上の結果は, 活動低下に伴う筋の廃用性萎縮に対する運動効果は加齢に影響されることを示唆する。活動制限期間中の運動効果は老齢期においても認められることから, 筋萎縮進行の防止策としての筋運動の有用性が示された。