著者
相馬 雄輔 藤田 淳 遠山 周吾 金澤 英明 福田 恵一
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.3-7, 2020-08-01 (Released:2020-09-10)
参考文献数
12

我々はiPS細胞を用いてヒト再生心室筋細胞を作出することに成功した。また,細胞のエネルギー代謝の差を利用して未分化幹細胞と非心筋細胞を除去し,心筋細胞の純度を99%以上に精製する代謝的純化法を開発した。さらに,再生心筋細胞から微小心筋組織(心筋球)を作製し,特殊な心筋球移植デバイスを開発することで心筋球移植法を確立した。免疫不全動物を用いた心筋細胞移植の造腫瘍性試験ではiPS細胞由来心筋細胞による腫瘍形成は観察されなかった。これらの基礎研究の結果から臨床応用へと進む準備が整ってきたと考え,今後ヒトを対象とした臨床研究を予定している。本稿にて再生医療の現状と将来展望を解説する。
著者
福田 恵一 遠山 周吾 関 倫久 湯浅 慎介 下地 顕一郎 藤田 淳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1287-1295, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
10

iPS(induced pluripotent stem)細胞の発見以来,再生医療への応用が期待されている.難治性重症心不全は心臓移植以外に根本治療がなく,新たな治療法の開発が待たれている.iPS細胞を用いた心臓の再生医療はこの10年で大きく進歩した.ゲノムを損傷せずに効率的に安全なiPS細胞を作出する技術,血清などの動物成分を含有しない培地でiPS細胞を大量増殖させる技術,効率的に心筋細胞を作出する技術,心筋細胞を純化精製する技術,効率的に心筋細胞を移植する技術やデバイスの開発などは大きく発展し,臨床応用直前の段階まで来ている.今後はこれらをフルに活用し,どのような症例に対していかに安全かつ有効な治療法になり得るかを検証し,育て上げていくかが問われている.