著者
梶原 友美 遠藤 淑美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.308-318, 2017
被引用文献数
3

<p><b>目的:</b>精神科救急病棟への非自発的入院初期の看護援助に対する認識を看護師,患者の視点から明らかにする.</p><p><b>方法:</b>看護師,患者に半構造化面接を行い,質的統合法(KJ法)を用いて分析した.面接は,入院初期の参加観察を参考にした.</p><p><b>結果:</b>対象は,看護師,患者,各5人であった.看護師の認識は9枚のラベルに分類され,【暴力につながり得るリスクの排除】の一方,【意に反した中でなんとか行う患者の意に沿う援助】といった論理構造となった.患者の認識は6枚のラベルに分類され,【入院時の理不尽な対応への怒りとあきらめ】の一方,【治療の受け入れにつながる患者の立場に立った関わり】といった論理構造となった.</p><p><b>結論:</b>看護師,患者とも,看護援助に対し,強制的な治療遂行の一方,主体性の支持という2つの側面があると認識していた.患者の意に反した治療の遂行は,必要な治療でも,患者に強制力を認識させる.一方,主体性の支持は,治療を安全に行いつつ,患者の強制力の認識を減らすと考えられ,入院初期から意識すべき側面といえよう.</p>
著者
遠藤 淑美
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 = An official journal of the Japan Primary Care Association (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.360-362, 2012-12-21
参考文献数
7

<b>要&emsp;旨</b><br>&emsp;本稿は, 「語り」による新人看護師研修にファシリテーターの一人として参加している私の体験を通して, 新人看護師教育におけるナラティブとリフレクションの意味を考えてみようとするものである. はじめに, 新人看護師と熟練看護師の差の1つに状況対応能力があり, その能力の獲得のために, リフレクションがかかせないこと, リフレクションするには, 状況に没入する自分ともう一人の自分が必要であり, 研修はその両者を育てる機会になっていることを述べた. 次に, ここでの他者の存在は, リフレクションの特徴である新人看護師自身の気づきを導き, 生み出すためになくてはならないことを述べた. 最後に, リフレクションの過程におけるナラティブ (語り) の意味について, 声に出して「語る」ことの意味を体験の身体化の側面から, 「聴く」ことの意味を, 「行為の中の省察」へつながる行為として, また, 看護の伝承という側面から考察した.