著者
大間 知典子 笹部 哲生 小嶋 益子 足立 準 遠藤 薫 吹角 隆之 青木 敏之
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.796-799, 1994
被引用文献数
15

重症アトピー性皮膚炎患者240例の眼疾患について考察を行った. 対象は, 男性120例, 女性120例で平均年齢18.9±7.2歳であった. 気道のアトピー性疾患の合併は, 気管支喘息が27.9%, アレルギー性鼻炎が29.6%であった. 各症例につき眼科的な自覚症状の有無に関わらず, 眼科的検査を施行し, 眼合併症を調査した. 結果は134例 (55.8%)に何らかの眼合併症がみられた. その内わけはアレルギー性結膜炎28.3%, 白内障17.9%, 春季カタル2.1%, 網膜剥離1.3%, 円錐角膜0.8%, 網膜裂孔0.8%, 眼瞼内反症2.5%, 角膜びらん6.3%であった. 症状や病態によっては, 眼科治療が必要とされるものもあり, 眼症状を訴えない患者に対しても, 早期冶療の目的から, アトピー性皮膚炎の患者には, 眼科的な検査を積極的に行う必要があると思われる.
著者
遠藤 薫 檜澤 孝之 吹角 隆之 片岡 葉子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1309-1315, 1999

症例:生後2カ月女児.IgE 62 IU/ml,RAST(ハウスダスト 1.06 Ua/ml, Df 0.03, Dp 0.01,犬皮屑 7.99).母の実家に行くと症状が悪化.実家では室内犬が飼育され,患児は生後1カ月間そこにいた.犬の失踪後,実家訪問後の悪化は徐々に消失した.2歳以下のアトピー性皮膚炎患児368名について,自宅及び自宅外での犬の飼育の有無と皮膚症状,検査所見の関係を検討した.犬皮屑に対するRAST陽性率は,自宅で飼育していれば高かったが,父母の実家で飼育されているときにも高いことがわかった.室内飼育の場合,室外飼育よりも陽性率が高かったが,自宅と父母の実家で有意差はなかった.室内飼育の場合,陽性率は生後3カ月以内に高値となり,それ以後陽性率は有意に上昇しなかった.室内飼育の場合,実家を訪れる回数に比例して陽性率が上昇していた.皮膚症状は,室内で飼育した場合,室外で飼育した場合と飼育していない場合に比して有意に重症であり,室内犬を室外に隔離するだけで症状が改善する可能性があると考えられる.