著者
郝 暁卿
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-19, 2014-01-08

本稿は世界記憶遺産の保存・活用に関する総合的研究という奨励交付金の報告の一部として作成したものである。いわゆる記憶遺産とは過去のものでありながら、現在の人々に常に深遠な意義を示し、影響し続ける存在でないといけないものである。その意味で他の記憶遺産と同じように『黄帝内経』もそのような存在である。本稿は中国に複数ある「世界記憶遺産」の中で『黄帝内経』に考察の焦点を当てて、その現代的な意義を考えた。また、それと同時にその背景にある中国文化の要素も改めて吟味しようとした。結論の一つとして、『黄帝内経』は中医学の基礎理論を確立しただけではなく、その魅力と価値はまた病気治療と養生保健の実用性及び中国伝統文化の特殊な思惟方式にあるということである。
著者
郝 暁卿
出版者
福岡県立大学
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 = Journal of the Faculty of Integrated Human Studies and Social Sciences, Fukuoka Prefectural University (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.13-27, 2008-07-31

中国医療システムには中医学、現代医学、中西医結合医学という三つの流れと医療が存在する。本稿は「中医学、ウイグル医学、日本の代替医療の医療人類学的比較研究―リサーチプランのための基礎研究―」のプロジェクトの一部として、中西医結合医学を中心に、その歴史と成果および問題点を述べたものである。結論として、中西医結合医学の実践は現代医学の衝撃を受けながら中医学の存続が激しく議論され、中医学の医学関係者と擁護者たちが絶え間ない努力をした歴史過程の中で、また、中華人民共和国が成立した後、中国政府が盛んに提唱したのを背景に行われたものである。このような試みは中国の国内で賛否両論があるが、認められた治療思想や治療法などが数多くあるため、今後も中医学と現代医学のすぐれたところをとりながら、開拓し続けていくだろうと見られる。しかし、この新しい医学としての価値と展望については将来における更なる実践の中で証明し、開かなければならないと思われる。