著者
鄭 矩 藤井 義晴 吉崎 真司 小堀 洋美
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.475-479, 2010 (Released:2011-12-07)
参考文献数
20

オニグルミのアレロパシー活性がニセアカシアの初期生長に及ぼす効果を明らかにするために,混植実験と根圏土壌法による検定を行った。混植実験において,オニグルミとニセアカシアを混植した区では,対照区に比べて,ニセアカシアの乾物重量が約50% に低下した。また, 混植区の土壌は,1.2%×10-6g g-1 のユグロンが含まれ,ニセアカシアの初期生長を50% 阻害するユグロンの量とほぼ一致した。根圏土壌法による検定では,ニセアカシアの初期生長は根域土壌よりも根圏土壌で阻害される傾向を示し,根に近い土壌ほど生長が低下することから,根から出るユグロンが作用していることが強く示唆された。以上のことから,オニグルミが生育する土壌では,オニグルミの根のアレロパシー活性により,ニセアカシアの初期生長を阻害する可能性があることがわかった。