著者
福光 正幸 長谷川 真吾 岩崎 淳也 酒井 正夫 高橋 大樹
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2016-DPS-166, no.6, pp.1-8, 2016-02-25

商用オンラインストレージサービスに保存されたユーザデータは,ターゲット広告配信や犯罪捜査の目的でサービス事業者側で解析されたり,第三者からの攻撃により改変/漏洩される恐れがある.その対策として,ユーザ側でデータを暗号化し,さらに,秘密分散法により分割して,複数のオンラインストレージに分散保存して守る技術が提案されている.しかし,強力な攻撃者から標的にされた場合,この対策だけでは十分ではない.攻撃者は,標的ユーザの通信を傍受することで分散保存先の特定が可能であり,さらに,その全ての攻撃に成功した場合は,保存データを消失させたり,暗号データを奪うことも可能である.また,奪われた暗号データが,オフラインのブルートフォース攻撃により解読される恐れもある.そこで,本稿では,秘密分散法に匿名通信技術を援用した P2P 型ストレージ技術を提案する.提案法では,P2P ノードが相互に匿名通信を用いてデータを送受信して保存し合うことにより,攻撃者の通信傍受による分散保存先の特定が不可能になり,分散保存先への攻撃を困難にできる.ところで,提案法のようにデータを不特定な P2P ノード群に分散保存して秘匿する場合,一般的には,その分散保存先の情報を復元用メタ情報としてユーザ端末などに残す必要がある.しかし,そのメタ情報は格好の標的であり,攻撃者によるユーザ端末の盗難やハッキングを受ける恐れがある.そこで,本稿では,ブロックチェーンの技術を援用することで,メタ情報も P2P ストレージ上に秘匿し,ユーザ端末でのメタ情報の保存を不要にし,復元時にはユーザ名とパスワードのみを用いて,P2P ストレージ上の保存データに安全にアクセスできる仕組みも提案する.
著者
三浦 真也 酒井 正夫 静谷 啓樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.599, pp.125-130, 2007-03-09
参考文献数
7

本稿では,オーディオコンテンツに対する新しい電子透かし技術として「乱択法」と「うなり法」を提案する.乱択法は,秘密情報である電子透かしを,誤りを許容して冗長に埋め込み,それを多数決アルゴリズムを用いて検出することで,コンテンツの品質低下を抑えながら,検出精度の向上を可能にする手法である.また,うなり法は電子透かしを,人間が知覚困難なうなりの形でオーディオデータに埋め込む手法である.うなり法と乱択法を併用することで,高密度な電子透かしを埋め込むことが可能である.評価試験により,提案法の性能を検証する.