- 著者
-
川満 芳信
重久 利枝子
福澤 康典
村山 盛一
- 出版者
- 琉球大学
- 雑誌
- 琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, pp.1-14, 2002-12-01
CAM植物であるパインアップルのCO_2収支量を増大させるためには明期の気孔を更に開孔させる必要があると考え,気孔開閉を制限している要因を検討した.1.暗期を短縮してCO_2固定を抑制してもリンゴ酸蓄積量は対照区とほぼ同じであった.暗期におけるリンゴ蓄積量とPhase-3の長さ,明期におけるリンゴ酸の消失と気孔開孔(ガス交換の開始)には関係は無く,Phase-4において葉内CO_2濃度が低下しても気孔は開かなかった.2.暗期短縮やCO_2-free air処理はリンゴ酸蓄積量を減少させたが,Phase-4の気孔開孔は著しく阻害された.3.葉のリンゴ酸含量が増加すると水ポテンシャルおよび浸透ポテンシャルは低下した.4.暗期を短縮した長日条件にすると明期のCO_2吸収は増加し,総CO_2収支量は僅かに増加した.更に明期が長くなると,C_3回路よりもリンゴ酸を精製するC,ジカルボン酸回路が活発に働き,総CO_2収支量の増加は期待できなかった.