著者
田代 隆良 重野 秀明 後藤 純 菊池 博 寺尾 英夫 那須 勝
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.859-866, 1989
被引用文献数
3

1981年10月から1988年10月までの7年間に当内科で経験した連続剖検200例中8例 (4.0%) に単純ヘルペスウイルス (HSV) 臓器感染を認めた. また, 肝臓のnecropsyを行った1例にHSV感染を認めた. 9例の年齢は35~70歳 (平均58歳), 男女比は5/4で, 原疾患は非ポジキソリンパ腫4例, 成人T細胞白血病1例, 多発性骨髄腫1例, 特発性間質性肺炎1例, 気管支喘息1例であり, 残りの1例には基礎疾患はなかった.<BR>9例中2例はHSV劇症肝炎が, 1例はHSV肺炎が直接死因だった. HSV感染臓器は食道が87.5%と最も多く, 舌62.5%, 肝臓33.3%, 脾臓, 膵臓, リンパ節25.0%, 肺, 副腎, 扁桃12.5%だった. 細胞の風船様膨化, 多核巨細胞, スリガラス状核 (full型核内封入体), Cowdry A型核内封入体などの特徴的組織像は潰瘍や凝固壊死巣の辺縁に認められた. 間接酵素抗体法による免疫染色で9例全例にHSV-1抗原が証明され, 電顕により2例でウイルス粒子が証明された.<BR>7例に重複感染が認められ, 病原体はサイトメガロウイルス5例, <I>Aspergillus</I>4例, <I>Candida</I>3例, 細菌3例だった.
著者
田代 隆良 後藤 純 重野 秀明 後藤 陽一郎 黒田 芳信 那須 勝
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-17, 1988-02-20
被引用文献数
11 3 28

原発性肺癌患者56例の血清CA19-9濃度を測定した.初診時・治療前の陽性率は16%, 経過中最高値をとっても30%とCEAにくらべ低かった.血清濃度は腺癌とくに気管支腺型腺癌で著増し, 免疫組織化学的にも大量のCA19-9の局在が認められた.しかし、血清濃度と組織内局在とは必ずしも相関せず, 腫瘍の大きさや血管浸潤などが関与しているものと思われた.