著者
酒見 由美 伊豆 哲也 武仲 正彦 野上 保之 森川 良孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1542-1553, 2010-09-15

出入国の厳格かつ迅速な管理を目的として,国際民間航空機関(ICAO)は電子パスポート(e-Passport)の導入を推進しており,日本を含むいくつかの国ですでに発行が開始されている.2009年8月に開催された国際会議においてCoron,Naccache,Tibouchi,Weinmannは次世代のe-Passportが使用するISO/IEC 9796-2署名の偽造攻撃法と,実際の偽造署名データを発表した.Coronらは計算機実験データをもとに,他の条件下での攻撃コストを予想している.Coronらの署名偽造攻撃では,条件を変更した場合,攻撃計算量の算出に必要なパラメータの計算方法に影響が生じる.しかし,Coronらの評価方法では,その影響について考察されていないため,他の条件下での脅威が判断しにくいという問題がある.本稿ではCNTW攻撃の詳細な計算量を算出・評価するとともにCoronらの署名偽造攻撃を次世代e-Passportに適用した場合の偽造可能性を議論する.For establishing strict and rapid immigration control, ICAO has been spreading the electronic passport (e-Passport), which is introduced in some countries including Japan. Recently, on August 2009, Coron, Naccache, Tibouchi, and Weinmann announced a new forgery attack against the signature scheme ISO/IEC 9796-2, which will be used in the next-generation e-Passport. Using the experimental results, Coron et al. estimated the attack's cost under other conditions, but they did not consider that parameters which used to compute the attack's cost depend on the conditions. Therefore, it is difficult to evaluate the attack's threat by their estimates. In this paper, the detailed cost of the attack is shown. Then, this paper discusses the possibility and the effect when the attack is applied to the next-generation e-Passport.
著者
宮崎 武 荒木 俊輔 上原 聡 野上 保之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.470, pp.97-102, 2015-03-02

素体上のロジスティック写像は,一般的に実数上で定義されるロジスティック写像を素体上で定義し,入力値と写像値を素体の元として計算機上で演算しやすい繰り返し写像である.この写像より得られる擬似乱数系列は,低い演算精度でも十分な乱数性を有していることを示したが,その系列については,まだ十分な解析がなされていない.本稿では,素体上のロジスティック写像における自己相関値により,演算精度に近い周期を持つループの存在を示し,そのループの種類を分類する.また,素体を構成する素数がメルセンヌ素数である場合は,それらのループが同じ種類になることを実験的に示す.