- 著者
-
野口 博司
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1992
クズ培養細胞系より得られたカルコン合成酵素cDNAを用い,ゲノムDNAライブラリーを検索しクローン解析を行ない,独立と思われる2種の遺伝子を得て,この上流域について検討した。この遺伝子2,3とbのうち500bpについてはシークェンスが完了している。これをこれまで知られている主なプロモーター領域と比較すると,インゲンのエリシターによって発現する主要なCHSのプロモーターとは上流-380から-840までで高い相同性が見い出された。中でも-145のTATAboxと推定される配列のすぐ上流にコンセンサス領域が存在し,まだインゲンのboxIIIに相当する領域は見い出された。一般には転写開始点から-400bpまでにプロモーター活性が存在すると考えられるが得られた全領域について,プロモーター解析用のベクターとして著名なpBI121に組み込み解析しようとしている。現在これをトリペアレンタルメイティング法により,アブロバクテリウムを介してタバコ,エンドウに戻してプロモーター機能の解析を行なおうとしている。これはブドウ,クズ等のプロトプラストを生成させ,エレクトッポレーション等による形質転換が,良い結果が得られない為,確実に形質転換体を得る目的で行なっている。又現在知られているプロモーターの中ではダイズのプロモーターとはほとんど相同性が検出されていない。また現在ダイズ由来の環元酵素cDNAを用い,クズのゲノムDNAにおける生合成遺伝子のクラスターを調べる上で,CHSと協同する環元酵素の遺伝子を検索し,この上流域を得るべく検討している。現在までの所,いまだアントシアン合成系にかかわると思われるCHSについては得られていない。