著者
森下 満 柳田 良造 野口 孝博
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.598, pp.109-115, 2005-12-30 (Released:2017-02-11)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

This study aims to clarify color transition of Kobe's townscape from the middle period of Meiji until now. Painted colors of western historic houses of Kobe have been investigated. On the other hand, a comparative analysis of Kobe and Hakodate's townscape have been conducted to the study. Obvious characteristics throughout the study are summarized as follows: 1) It has been known that Kobe's houses have been characterised by different colors, for example, external walls and windows are painted respectively by off-white, light beige (for walls) and, green and brown (for windows and posts). This study has obtained that different colors were used. Before the 1960s various and dark colors, especially dark green and gray, were popularly used. Since 1980, various influences of sightseeing and designated historic district, have affected changing the color of these houses to off-white color. 2) The changing of townscape color of both Kobe and Hakodate are different. Incase of Kobe, the townscape color did not chang for about sixty years and was stable for a long period, while Hakodate's case has shown different performance, hence their houses have been characterised by changeable color for a short period every twenty or thirty years.
著者
ムシュタハ イマド S. 野口 孝博
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.605, pp.23-30, 2006
参考文献数
9
被引用文献数
1

1.はじめに近年のガザにおいて、住宅の乱立による伝統的なスタイルや文化性の喪失は深刻なものとなっている。なぜなら、コストや形態の美しさを優先するため、気候や社会的な快適さが軽視されるからである。この状況を改良するために、住宅内部の環境や文化的問題などを、風土に合ったかたちで快適なものを提案することが重要だと考えている。そこで本研究では、階層分析法を用い住宅の平面プランを分析する。そして、各住戸の各平面プランを、夏を重視したプラン、冬を重視したプラン、また夏-冬に共通するプランに分類する。さらに、これらの分類を、伝統的な住宅の関係図と照らし合わせることで、伝統的な住宅を取り入れた将来の住宅計画につながる原理を考察する。2.研究の目的ガザの気候は、気温の最も高い月で、平均31.2℃、最も低い月で6℃と気温差は大きい。このことは、住宅のデザインに多大な影響を与えると考えられる。また、ガザは人々が密集して住んでいることで知られている。こうした土地の不足、人口密度の問題を西洋風の高層住宅を建てることにより解消してきた。しかし、そのことは気候や社会的で伝統的な住まい方に悪い影響を与えた上に、住宅の問題を解決することが出来なかった。これを改善するため、イギリス統治時代以降の戸建住宅を分析する。そして、それの結果に応じて現在の住宅特徴を明確にし、伝統的な住宅の要素を取り入れた新しい住宅計画の提案を目的としている。3.調査の方法アンケート調査により、一般的な115の住宅で結果が得られた。その内訳は、エジプト時代の住宅が17件、イスラエル時代の住宅が48件、パレスチナ時代の住宅が50件である。これらのアンケート結果を、階層分析法により分析する。また、現在の戸建住宅の特徴を類型化するため、本研究では、土地利用の形態、地上での人々の活動、住戸内空間の方位、空間の大きさの4つの要素に焦点を当てて分析する。そして、それらの要素をさらに様々な選択肢に再分割し、マトリックス理論から引用した分析手法で分析することによって、人々の行為やその部屋の方位について要求や満足を仮定する。4.住宅パターンの分類時代別の傾向をみることに加えて、再分割された要素の分配とアンケートの分析から、そのプライオリティーを決定する(図7)。これらのプライオリティーから風土と密接に関わる夏冬の平面プランのパターンがそれぞれ明確になった。一般的に、夏の間涼しい風が北西から吹くことが知られているので、リビングが北西に配置される。これが3つの時代において、リビングスペースが北西につくられてきた理由である。また他方では、冬のことを考えて、リビングスペースを東や南に配置する事例もみられた。リビングスペースを東や南に配置することは、太陽光を住宅内部に取り込むことを容易にし、快適なリビングの環境をつくることが可能である。5.プライオリティー理論による平面計画ガザにおいて、サスティナブルの視点から新しい住宅の評価を特定することが緊急の課題である。そこで、本研究では、住宅の評価を満足度が反映される住宅内のリビングスペースの方位に焦点を当てている。3つの時代それぞれの空間のプライオリティーを総合化することで、各時代のリビングスペースの方位がわかった。そこから、住戸パターンが夏型、冬型、夏-冬型に分類することが可能で、それらがリビングスペースの方位を基準に配置されていることがわかる。しかし、著者は夏のパターンのみをまとめるだけでは不十分であると考えている。夏だけではなく、冬や夏-冬のパターンにも柔軟に対応したゾーニングを整理する必要がある。そして、これらのアプローチから伝統的な住宅の平面計画と現在の平面計画を検討し、双方の長所を持ち合わせた、新しいデザインを考えていく。これらのアプローチは、2世帯居住により生じるガザ特有の文化的混乱を減少させ、住環境や社会的な快適さを増加させることが出来る。また、戸建住宅やコレクティブハウスは、これらの検討結果をデザインや計画に反映させ、さらに発展させることも可能であると考える。AHPの分析はnote1を参照してください。6.まとめ上記の分析をふまえ、本研究を以下の通りまとめた。6-1.空間の配置1)図9.5は居住者が満足する空間の配置を示すことができた。2)住戸ユニットの中に中庭や外庭を計画、及びそれらと他の部屋の関係が重要な意味を持っていることがわかった。3)住戸ユニットは、コレクティブハウスやコーポラティブハウスで同じコンセプトを用いることが可能で、オープンスペースを共有する形で2つのユニットを上下でつなげることは、住環境や社会的な環境を向上させる上で望ましい。4)コンビューター、ファックスやプリンタなど新しいコミュニケーションツールへの要求があることがわかった。さらに、それらを住宅内のコミュニケーションが取りやすい場所に配置することに対する興味を訪ねたところ、85%の人々が要求しているということがわかった。小さいスペースをリビングスペースのまわりにまとめて配置することが、家族での共有を容易にすることが図9.6からわかる。6-2.標準的な住戸ユニットとその敷地1)表1から、住宅が小さくても、すこし大きなオープンスペースを持つことは、2世帯居住にとって良いことである。また、内部空間を共有することを文化的な観点から勧めることは、重要な意義を持つことがわかった。2)住戸ユニットの近くで日常の生活を営むことで満足を得るためには、図9に示す計画的アプローチに沿って検討することが賢明である。3)最も重要なのは、住宅が小さいことではなく、オープンスペースが必要なことである。私は、上記の特徴を将来のプランニングや構造のプロセスに反映させることを強く推奨する。なぜなら、これらが今後の文化や気候の観点から、持続的な計画論や設計手法を確立する上で重要だからである。
著者
森下 満 柳田 良造 野口 孝博
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.592, pp.139-145, 2005-06-30

At the West Historic Quarter in Hakodate, the color of the townscape has been keeping a harmony though many western style houses have been used various paint colors and their color has often changed. This study aims to clarify the formation mechanism of this color of the townscape. As a result, we found that many residents have selected the color considering the relationship among of them, their houses and surrounding environment. In the background, there were several characteristics of the western style houses with ornaments, the port city, symbolic historical buildings, etc., in the quarter, where the interaction between paint colors and residents' life has occured. And residents have understood and felt strong attachment for the characteristics through their houses painting.