著者
野呂 雄一 井 研治 久野 和宏
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.741-746, 1988-10-01
被引用文献数
3

正弦波信号を用いて、線形システムの伝達関数を測定するには、その出力信号である正弦波の周波数、振幅、位相の三つのパラメータを正確に測定しなければならない。しかし、実際の測定においては、信号の周波数は既知な場合も多い。本論文では周波数が既知である場合、これを利用してデータのサンプリングを信号に同期させて行い、得られたデータにDFTを適用して振幅と位相を高精度に測定する手法について述べている。そして、高調波歪の除去法や測定精度について詳しく考察する。特に測定精度についてはデータ数とSN比との関係を数学的に明らかにし、データ数が多い場合やSN比が高い場合に振幅と位相の測定誤差が同一の近似式で与えられることを導出した。また、最後に、本手法を用いた測定例として吸音材の音響インピーダンス測定の結果を示した
著者
久野 和宏 倉田 勤 野呂 雄一 井 研治
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.318-326, 1991-05-01
被引用文献数
2

幾何音響学に基づき直方体室内の音線を斜め波、接線波及び軸波にグループ分けし、各グループに含まれる音線と室表面との衝突周波数の分布について考察した。残響場における音響エネルギーの時間減衰は衝突周波数の分布の母関数で表され、そのレベル波形は衝突周波数の分散及び室表面の吸収率が大きくなるにつれ湾曲することを示した。すなわち、残響特性のいわゆる曲がりは、グループ間及びグループ内の音線の特性のばらつきに由来することを示した。また、定常場における各グループのエネルギー分担率と室形状及び吸収率との関係について検討を行った。