著者
野坂 昭雄
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、パノラマや写真、映画など、明治から昭和期にかけて発達した視覚的メディアに注目し、特に太平洋戦争の開戦から終戦までに書かれた戦争詩が、詩の表現として視覚的な様相を含み込んでいたことの意味を考察した。丸山薫の戦争詩は、その視覚的な表現において特徴的であるが、一方でそれは他の詩人、批評家たちにも共有された視覚的メディアの影響の結果であり、他方で「戦争」において要請された銃後の情報戦、あるいは兵站術の産物でもあったと考え、詩の表現を通じて戦争詩における視覚性のあり方を明らかにした。
著者
押野 武志 畑中 健二 土屋 忍 山崎 義光 野坂 昭雄 森岡 卓司 高橋 秀太郎 野口 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の1960年代において、文学概念の再編が社会的・思想的・政治的な諸言説と重層的に干渉し合いながら、どのように行われたのかを総合的に究明した。純文学/大衆文学、カルチャー/サブカルチャー、文学/政治、事実/虚構といった1960年代の文学をめぐる新たな境界の生成を1930年代前後の諸言説と対照させながら、60年代の文学が何を構造的に反復していたのかという、戦前と戦後を貫く近代日本の知的言説の歴史的特質も明らかにした。