著者
野島 美知夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.21-30, 2013-02-28 (Released:2014-11-26)
参考文献数
34

近年, 子宮頸がんは40歳以下の若年者に増加してきています. それは子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス (HPV) が蔓延していることが考えられます. 子宮頸がんの原因がHPVであるということがわかったことにより, 予防ワクチンが開発されました. 現在は2種類, 2価ワクチン, 4価ワクチンが承認され使われています. それぞれのワクチンで特徴をもっていますが, このワクチンですべての子宮頸がんが予防できるわけではありません. 国, 自治体の努力により中学1年生から高校1年生まで公費接種が受けられるようになり, その接種率は70-80%に達している地域もあります. 一方, この世代以上の接種率はまだまだ低く1-2%といわれており, 積極的な接種の働きかけが必要と思われます. 二次予防である子宮頸がん検診も重要です. 近年, 欧米ではこの検診にHPV検査が併用されるようになり効果を上げ, 検診のシステムも新しく考えられています. 日本ではがん検診におけるHPV検査の導入はまだですが子宮頸がんの原因がHPVであることがわかっている以上は, 近い将来導入されると思われます. 一次予防としてのHPVワクチン接種, 二次予防としての子宮がん検診, この2つがうまく重なることによって子宮頸がん撲滅への道が初めて開かれると考えられます.