- 著者
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野澤 祥子
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.1, pp.22-32, 2011-03-20 (Released:2017-07-27)
1〜2歳の仲間同士における自己主張の発達的変化を明らかにすることを目的とし,保育所の1歳児クラスを対象として約1年間の縦断的な観察を行った。分祈には,誕生月を説明変数とした潜在曲線モデルを用い,発声や発話の声の情動的トーンにも焦点を当てて検討を行った。その結果,多くのカテゴリにおいて,その初期量や変化率が誕生月の違いによって異なること,すなわち,観察開始時の月齢によってその後に辿る発達的変化のパターンが多岐に亘ることが示唆された。次に,この結果に基づきつつ,個々の子どもの発達的軌跡を参照し,その共通性から発達的傾向を検討した。その結果,自己主張がなされる場合,1歳前半には発声による主張が特徴的にみられること,2歳前後にかけて不快情動の表出を示す行動が増加し,その後は減少すること,2歳後半にかけて情動や行動を制御した発話や交渉的表現など,よりスキルフルな自己主張が増加することが示唆された。自己主張の発達を検討する際に,声のトーンを含む情動的側面に着目することや,個々の子どもの発達的変化を考慮することの重要性が考察された。