著者
谷川 真理 内山 巌雄 野瀬 三佳 東 賢一
出版者
公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では化学物質過敏症(MCS:Multiple chemical sensitivity)患者と健常者の多項目免疫機能検査を測定し、比較検討した。MCS患者群と対照群から採血し、一般検査、リンパ球サブセット解析と12種のサイトカイン産生能を測定した。結果はMCSでIFN-γ産生能が有意の低下を認め、他項目では差がなかった。IFN-γは、自然免疫系と獲得免疫系の両方に関与するTh1系サイトカインで、MCSではTh1系の反応に、なんらかの不全がある可能性が示唆された。血中IgE, コーチゾールは異常なく、Th2系サイトカイン産生能にも差がないことから、MCSはアレルギーを介さない病態と考える。