著者
中原 孫吉 野間 豊
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.93-98, 1972-12-25

わが国の果樹園は風衡地の傾斜地や砂丘地に植栽されている場合が少くないので,その防風施設の1資料として熱川暖地農場の風衡地の早生温州宮川系34年生の地上1m高の直径1.2cmの側枝に止め金を付けその水平面内の動揺を変位計で測り,昭和46年7月23日の記録をもとにして振動の幅やその周期を測定し第2表および第9,10図に示したが,強風時の動揺の振幅は弱風時のそれに対比すると劣ることは当然であり,地上1m高の側枝さえ約15cm位の幅でゆれるので上梢部ではさらに大きく振動するものと思われ,その結果着生した果実の動揺も大きく互いの衝撃によって損傷することは当然の結果と思われるが,その割合は風上側に多く,風下側に少いことが立証されたわけである.われわれは風衡地の果樹園で防風施設が当然必要なことはいうまでもないが,その一資料の立証ができるものと思われる.
著者
永沢 勝雄 大野 正夫 野間 豊 大場 陸司
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 1968-12-31

1.1966,1967両年度において,早生温州ミカンの結果母枝の発育程度とNAA散布による落果助長効果との関係,側枝の着果にあたえる影響を調査し,なお,NAA散布が収穫果実の形質におよぼす影響について調査した.2.NAA散布濃度は300,150ppmの2種類とし,花弁脱落期(満開5日後)ならびに幼果期(満開40日後)に散布した.一般に濃度の高い方が落果を助長した.3.NAA散布による落果助長効果は1966年では,幼果期散布区,1967年では,花弁脱落期散布区に顕著で,年によって様相を異にした.4.NAA散布が果実の形質にあたえる影響については,1966,1967の両年とも,いづれのNAA散布区においても一果平均重が大きく,大果歩合が高くなった.その原因としては,落果助長にもとずく,一果当り葉面積の増大によるほか,NAAそのものに残存果実の肥大を助長する作用があるのではないかと考えられた.