著者
荻野 雅宏 川本 俊樹 金 彪
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.96-103, 2004-02-20
被引用文献数
7

本邦はスポーツに関連する神経外傷の統計に乏しく,発生頻度や種目別好発病型についての解析は困難であるが,報告されている重症頭部外傷は多くが急性硬膜下血腫で,アメリカンフットボール,ラグビー,柔道などに多い.米国からはアイスホッケー,アメリカンフットボール,サッカーに脳震盪が好発するとの報告がある.脊椎脊髄損傷は年間約数百例と推察される.種目としては水泳,スキー,ラグビー(アメリカンフットボール,サッカーを含む)に多い.軽症神経外傷(いわゆる脳震盪)の診断と受傷後の復帰の判断は. American Academy of NeurologyやConcussion in Sports Group などにより提唱された基準のもとに行うべきである.
著者
金 彪
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.254-258, 2019-04-25

はじめに 姿勢の制御,ならびに体幹四肢の骨格筋の運動を制御するのは,4つの要素である.すなわち,大脳皮質ならびに脳幹から下行する運動系経路,小脳,大脳基底核,ならびに脊髄の運動系(前角ニューロンと介在ニューロンからなる分節回路)である.このことはよく知られているところであろう.しかし,これらの構造の相互の連結については,脊髄の臨床に携わる外科医たちには意外に正しく認識されていないことがある.その結果として,機能・生理学やモニタリングの意義解釈に関するディスカッションが間違った方向に進んでいることもあるので,再整理しておくことに意義があると考える.