著者
金 春姫
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.106-118, 2019-06-28 (Released:2019-06-28)

このケースでは,2013年に創業した名創優品産業に注目する。日本発ファストファッションデザインをコンセプトに,グローバル本社は東京銀座にあるとしながら,実質上は中国企業である。中国で空白だった格安雑貨ショップのビジネスモデルを作り上げ,最近は日本ブランドとして積極的に海外進出を進めている。本稿では,この中国発の日本ブランドが作られた経緯を整理する。
著者
金 春姫
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.6-15, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
39

ポップカルチャーは消費者の行動やライフスタイルに幅広い影響を与える重要な要素として知られている。特に近年,インターネットの普及やソーシャル・メディアの発達,定額型配信サービスの台頭に伴い,消費者は常にさまざまな国や地域からのポップカルチャーに触れられるようになっており,その影響はますます大きくなっている。しかし,これまでのマーケティング・消費者行動領域においてポップカルチャーの影響を直接扱うことはあまり多くない。本稿では,多様なポップカルチャーが同時に受け入れられている現状に注目し,そうした多文化のコンテキストにおいてポップカルチャーが消費者行動に与える影響について考察する。研究方法としては,マーケティングとツーリズムにおける先行研究を整理した上で,東・東南アジアを中心に実施したインタビュー調査を用いた定性的アプローチを用いる。これらの作業を通して,多文化時代におけるポップカルチャーと消費者行動に関する包括的な分析フレームワークを提示する。最後に今後の展望について述べる。
著者
金 春姫
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.2_169-2_182, 2011 (Released:2018-08-31)
参考文献数
18

本研究は、政治や経済などの領域における国/地域間の衝突を背景に、消費者の間で特定の国に対して敵意が存在する場合に焦点を当て、それが消費者行動に与える影響について修正敵意モデルに基づきながら、多地域で実証的な考察を行うことを目的とする。考察の結果、多地域における修正敵意モデルの一般化可能性が確認され、敵意の消費者行動への影響に対するより深い理解が得られた。敵意対象国の関連製品に対する消費者の購買意図は、個人の敵意から直接的な影響を受けない。一方で、敵意の社会的な共有により形成される社会規範からのプレシャーは重要な役割を果たす。
著者
金 春姫
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.100-109, 2021-01-07 (Released:2021-01-07)
参考文献数
13

このケースでは,中国の外食チェーン海底撈を取り上げる。四川式火鍋料理を提供する同社は,その突出したサービスで中国消費者から熱烈な支持を得ている。これまでサービス品質の向上に苦心してきた中国の外食産業に同社が与えた影響は大きく,業界全体の底上げに貢献している。さらに,高品質なサービスを支える従業員の満足と積極性を引き出すための仕組みにも各界から関心が集まっている。近年はグローバル展開も進めており,世界で最大の中華料理チェーンとも言われている。本稿は,前半で同社の概要,海底撈サービスの特徴と発展の歴史を振り返ってから,後半で高品質サービスと高速成長を両立させる背後の仕組みについてみていく。最後に,コロナ禍への対応を含めた最近の動向と今後の課題についても言及する。