著者
金 洪稷 樋野 公宏 浅見 泰司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1304-1311, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2

今後,高齢者の増加により要介護者の人数も増えていく中で、介護保険の赤字額もより上昇すると予想されている.介護保険の収支構造見直しの一環として社会参加による介護予防を促進する必要があるが,その効果も地域によって異なる可能性がある.本研究では,年齢・要介護度別の人口推計モデルを用いて高齢者の社会参加による介護保険の財政および介護労働力への効果を分析することで,社会参加の促進政策の優先順位を考えることを目的とする.その結果,人口規模が一定水準以下の地域において高齢者の社会参加による効果に地域差があり得ることが分かる.また,社会参加による財政的な効果と介護労働量の逓減効率は必ずしも一致するとは限らない.2055年までは都心部から距離がある地方が介護保険への財政的効果の観点でより効果的であるが,2060年からは都心部がより効率が高い可能性がある.