著者
加藤 岳人 七野 滋彦 佐藤 太一郎 秋田 幸彦 河野 弘 梛野 正人 金井 道夫 三浦 由雄 片山 信 山本 英夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.735-739, 1983-04-01
被引用文献数
19

鈍的腹部外傷による小腸・腸間膜損傷の病型は,破裂・断裂・挫傷の3型に分類される.腸管の破裂や断裂は遅発性のものを除けば診断は比較的容易で,多くは開腹に至り救命しうる.一方,挫傷は症状も軽微で何らの後遺症も残さず治癒することが多い.しかしまれな合併症として遅発性穿孔や腸狭窄をきたす場合がある.今回われわれは外傷性小腸狭窄を呈した2症例を経験し,術前診断が可能であったので文献的考察を加えて報告する.
著者
山田 英貴 金井 道夫 中村 從之 大場 泰洋 濱口 桂 小松 俊一郎 鷲津 潤爾 桐山 真典 矢野 孝 杉浦 浩
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.51-56, 2004-01-01
参考文献数
14
被引用文献数
7

症例は80歳の男性.2001年10月24日から食欲不振と尿濃染を自覚し,近医を受診.CTで肝内胆管の拡張と総胆管内の腫瘤像を認め,当院へ紹介.ERCP,MRCP,PTBDチューブからの胆管造影で中部胆管に境界明瞭な乳頭状の腫瘍を認め,PTCS直視下生検で低分化腺癌と診断.以上より中部胆管の乳頭型胆管癌と診断し胆管切除術・リンパ節郭清を行った.病理組織学的には核/細胞比が高い小型の細胞がシート状,充実性に増殖する腫瘍であり,chromogranin A染色陽性で,small cell carcinoma (pure type)と診断した.術後合併症なく,第19病日に退院したが,術後9か月目の2002年9月,肝転移のため再発死亡した.胆管小細胞癌の報告例は欧米などの報告を含め11例と極めてまれである.しかし,術前の画像診断で乳頭型の胆管癌を認め,生検で低分化腺癌を認めた場合には本症を考慮する必要があると思われた.