著者
山口 昭三郎 金古 善明 山岸 高宏 大山 良雄 天野 晶夫 新井 昌史 中村 哲也 長谷川 昭 倉林 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.143-145, 2003-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
著者
入江 忠信 金古 善明 中島 忠 斉藤 章宏 太田 昌樹 加藤 寿光 飯島 貴史 八木 宏明 富田 智之 間仁田 守 伊藤 敏夫 倉林 正彦
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.239-244, 2010 (Released:2011-12-20)
参考文献数
9

症例は73歳, 女性. 2008年11月から, 息苦しさ, 顔面, 下肢の浮腫が出現した. 入院時心電図は心拍数42/分, 2対1房室ブロック, QRS幅90ms, 胸部写真にてCTR 55%, 肺血管陰影の増強あり, 正常冠動脈, 左室収縮能は良好で, 徐脈によるうっ血性不全と診断した. 血清カリウム値2.6mEq/Lと低下していたため, カリウム製剤の投与を開始した. 入院直後のホルター心電図では, 完全房室ブロック, Mobitz II型第2度房室ブロックも認めた. 第2病日には第2度以上の房室ブロックは消失した. 第5病日には血清カリウム値は正常化し, 以後低カリウム血症の再燃はなかった. 低カリウム血症をきたす内分泌・腎疾患を認めず, 原因は不明であった. 電気生理学的検査にて洞調律時に分裂ヒス電位を認め, ピルジカイニド25mg投与後に2対1ヒス束内ブロックとなり, ヒス束内伝導障害を認めた. 房室結節伝導は正常であった, ペースメーカーの適応については, 房室ブロックに対する低カリウム血症の関与の有無にかかわらず, ヒス束内伝導障害があるためclass IIaの適応と考え, 永久的ペースメーカーの植え込みを行った. 本例は, もともとヒス束内伝導障害があるうえに, 低カリウム血症によりヒス束の不応期の延長あるいは第4相の過分極をきたし房室ブロックをきたしたと推測した.