著者
山口 昭三郎 金古 善明 山岸 高宏 大山 良雄 天野 晶夫 新井 昌史 中村 哲也 長谷川 昭 倉林 正彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.143-145, 2003-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
著者
天野 晶夫 永井 良三 長谷川 昭
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1. 糖尿病における運動時赤血球酸素運搬能の障害糖化ヘモグロビンの酸素高親和性に注目し、糖尿病において運動耐容能と糖化ヘモグロビンが逆相関することを見出した。さらに、糖尿病ではP50(ヘモグロビンが50%酸素と飽和したときの酸素分圧で、酸素解離シフトを反映)の変化量は少なかった。即ち、運動時酸素解離曲線の右方へのシフトが抑制され、運動耐容能低下をもたらすことが明らかになった。2. 糖尿病における運動時乳酸アシドーシスに対する赤血球酸素運搬能の適応不全嫌気性代謝閾値(AT)以上の運動で発生する乳酸アシドーシスは活動骨格筋でのhypoxiaを代償するためにヘモグロビン酸素解離を促進させるという適応現象を惹起するが、酸素高親和性の糖化ヘモグロビンが高値である糖尿病においてこの現象が生じるか検討した。糖尿病では一定の運動量に対する乳酸値の上昇が大であるにもかかわらず、P50の変化は少なかった。即ち、乳酸アシドーシスによる酸素解離の促進という適応は起こらなかった。この適応不全が運動耐容能の低下の一因と推測された。3. 糖尿病における運動時骨格筋の酸素運搬能の障害糖化ヘモグロビンの酸素高親和性により、運動時の活動骨格筋でも酸素運搬障害が生じるかを明らかにするために、酸素化、脱酸素化ヘモグロビン、組織酸素飽和度の絶対値表示が可能となった新しい近赤外線モニターを用いて検討した。糖尿病では運動時の組織酸素飽和度(SdO2)の低下が軽度で、酸素利用率((SpO2-SdO2)/SpO2)SpO2:パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度)の増加も少なかった。即ち、糖尿病ではヘモグロビン酸素高親和性により運動時骨格筋でも酸素利用能の低下が起こり、運動耐容能低下につながることが明らかになった。
著者
山沖 和秀 天野 晶夫 今鷹 耕二 関 顕 藤井 潤
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.444-449, 1985-10-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
13

眼球雑音 (Ob) の頻度と臨床的意義を, 40~88歳 (平均63歳) の1050例の患者を対象とし検討した.Obは, 43例 (4%) に認め, 特に70歳以上では8%と高率であった.Obは過半数で両側に聴取し, 日内・日差変動が大きかった.Obを心音計で記録できた例で, 臥位下肢挙上, 紙袋内再呼吸, 対側頚動脈圧迫, 亜硝酸アミル吸入を試み, いずれも, 70%以上で雑音が増強した。不整脈でもObの強さが変動する例があった.60歳以上のOb33例では, 脳梗塞・一過性脳虚血発作33%, 虚血性心疾患36%, 間歓性破行24%, 高血圧48%, 耐糖能異常56%に認め, 頚部, 大腿動脈の血管雑音聴取率, X線的動脈石灰化合併率も含め, いずれもOb例で有意に高率であった.以上から, 眼球の聴診は, 老年者において, 神経学的診察法としてのみならず, 全身性動脈硬化の評価にも有用と考えられた.