著者
福田 和子 金城 繁徳 尾和 博 貴家 仁志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-03-27

これまでいくつかの2次元適応フィルタ(ADF)が報告されてきたが、特に演算量が問題となっている。例えば、2次元LMS法を用いても、サンプル当りの演算量はO(N^2)である。演算量の問題を克服するためには、ADFの並列化が不可欠である。そこで本報告では、2次元DFT周波数サンプリングフィルタ(FSF)バンクを用いた並列ADFを提案する。提案する2次元ADFは、並列構造であるうえに、FFTを用いることで演算量も大幅に低減される特長を持つ。
著者
尾知 博 金城 繁徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.801-809, 1993-06-25

本論文は,FIR適応フィルタの係数更新ベクトルとして,離散コンサイン変換(DTC)の基底ベクトルを使用した新しい適応アルゴリズムを提案している.NタップFIR適応フィルタの平均2乗誤差曲面は,入力信号系列の自己相関行列と係数誤差ベクトルによる2次形式で表され,N次元超平面におけるだ円を表している.本論文では,まずこのだ円の主軸が,トプリッツ(Toeplitz)行列である自己相関行列Rの固有ベクトル方向と一致することを示す.ところで,トプリッツ行列Rの固有ベクトルはDTCの基底ベクトルで近似できることがよく知られている.そこで本論文では次に,この基底ベクトル方向に沿って係数更新を行う新しい適応アルゴリズムを提案する.提案算法は,原理的にN回の反復で適応フィルタの係数を収束させることができる.最後にシミュレーションにより,従来の学習同定法と比較して本論文で提案するアルゴリズムが高速に収束することを示す.また,付加雑音が存在する場合でも提案法が有効であることを示す.