著者
黒崎 正行 上井 竜己 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.74, pp.99-104, 2010-06-03

ネットワークを介して画像を伝送するとき,情報量の圧縮のため,画像に対し符号化を行う.現在用いられている符号化では,画像情報を周波数の高低で分離し,情報量を低周波に集めることで,圧縮の効率化を図っている.しかし,この方法をとると,その一部の情報が欠けた場合,受信側で再構成できない.そこで,本研究では,画像のエネルギを等分に分割する2分割フィルタバンクを製作し,パケット誤りなどで一部情報が消失した場合にも,見た目上の再構成を可能にすることを目的とする.また,フィルタ係数に着目し,演算量の低減も同時に行う.
著者
ラナンテ レオナルド Jr. 長尾 勇平 尾知 博
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.124-132, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
16

本稿では,IEEE主導の802.11委員会によって策定されている無線LAN国際規格IEEE802.11の標準化作業の手順や最近の規格動向について概説する.同規格では,最新の11ac改訂でダウンリンクマルチユーザ技術が導入され,もうすぐ標準化作業が完了する11ax改訂でOFDMA技術によるアップリンクマルチユーザ高効率通信が可能となる.筆者らは,それらの規格改訂において計3件(11ac改訂で2件,11ax改訂で1件)の技術提案が採択された経験を有している.また,次世代測位規格11azや次世代超高速通信規格11beなどの最新の標準化動向についても紹介する.
著者
永野 航太郎 長尾 勇平 尾知 博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.10, pp.772-782, 2021-10-01

無線センサネットワーク等におけるノード間の高精度な時刻オフセット推定及び同期は,正確なデータ解析のための重要な課題である.一方,従来の高精度時刻同期手法は,無線センサネットワーク等の膨大なノードが参加するネットワークにおいて時刻同期のために大量の情報通信を要したり,同期を主導する時刻同期サーバが必要とされたりする問題がある.本論文では,時刻同期のための同期通信パケットを削減し,無線LANにおける高精度な時刻オフセット推定及び同期をソフトウェアにより実行する手法を提案する.具体的には,APから定期的に送出されるビーコンパケットに含まれるTSF (Timing Synchronization Function)タイムスタンプ値の増分に対して,各ノードが自身のローカルクロック増分値との近似回帰直線を算出し,マスタノードから回帰直線係数を送信する.また,提案手法について,計算機シミュレーションによりその精度と有効性を評価する.加えて市販無線LANアクセスポイント等を用いた実機実験により,従来手法よりも少ない情報量・通信でサブマイクロ秒オーダの時刻同期精度を実現できることを示す.
著者
和田 知久 翁長 健治 宮城 隼夫 吉田 たけお 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.41, pp.27-33, 2000-05-04

琉球大学では、ハードウエア記述言語を(VHDLまたはVerilog HDL)を用いたデザイン・コンテストを開催しました。コンテストは今年度が3回目でり、今年度より琉球大学の学生だけでなく、他大学や高等専門学校の学生も参加できるようにオープンなコンテストで、2月18日の締切りまでに15チーム(30名)の学生達の参加がありました。課題はガロア体の行列演算器であり、事前選考の結果、京大・阪大・九工大・豊田工業高等専門学校より6チームの代表を沖縄に招待し、琉大の4チームと合わせて、計10チームによる発表会を3月3日に琉球大学工学部にて行いました。琉球大学学部3年生の「タートルネックス」チームが、他大学を抑えて最優秀賞に輝きました。
著者
尾知 博 貴家 仁志 山田 洋士 高良 吉立 神林 紀嘉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.810-817, 1993-06-25
被引用文献数
14

最近,フィルタバンクを用いたサブバンド適応フィルタが研究されている.しかし,エリアジングをキャンセルして完全再構成を実現している通常のフィルタバンクを用いると,エリアジングやサブバンド間のクロス項の影響を回避できないという問題がある.この問題を回避するために,離散周波数点でエリアジングの影響を回避し,クロス成分をもたない周波数サンプリングフィルタ(FSF)バンクが提案されている.本論文では,最初にFSFバンクのDFT(discrete Fourier transform)による効率的な実現法を示す.次に提案した実現法によるフィルタバンクを用いた,周波数サンプリング定理に基づく適応フィルタを提案する.提案した適応フィルタは,サブバンド間のクロス成分およびエリアジングの影響を受けていない,離散周波数における周波数サンプル値による未知システムの同定を実現している.更に,周波数領域適応アルゴリズムと提案したアルゴリズムの比較を行い,離散周波数点における情報から未知システムを推定する本手法の有効性を示す.
著者
尾知 博 金城 繁徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.801-809, 1993-06-25

本論文は,FIR適応フィルタの係数更新ベクトルとして,離散コンサイン変換(DTC)の基底ベクトルを使用した新しい適応アルゴリズムを提案している.NタップFIR適応フィルタの平均2乗誤差曲面は,入力信号系列の自己相関行列と係数誤差ベクトルによる2次形式で表され,N次元超平面におけるだ円を表している.本論文では,まずこのだ円の主軸が,トプリッツ(Toeplitz)行列である自己相関行列Rの固有ベクトル方向と一致することを示す.ところで,トプリッツ行列Rの固有ベクトルはDTCの基底ベクトルで近似できることがよく知られている.そこで本論文では次に,この基底ベクトル方向に沿って係数更新を行う新しい適応アルゴリズムを提案する.提案算法は,原理的にN回の反復で適応フィルタの係数を収束させることができる.最後にシミュレーションにより,従来の学習同定法と比較して本論文で提案するアルゴリズムが高速に収束することを示す.また,付加雑音が存在する場合でも提案法が有効であることを示す.
著者
松尾 正輝 平田 雄也 Syafei Wahyul Amien 黒崎 正行 黒木 祥光 宮崎 明雄 斉 培恒 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.202, pp.17-22, 2009-09-17

本報告では,4Kデジタルシネマ画像の無線伝送システムを提案する.本システムでは,次世代無線方式として国際標準化に向けて動き出したIEEE802.11TGac(ac task group)を基本とした伝送速度1.2Gbpsの無線伝送システムを用いる.このシステムは5GHz帯を使用し,80MHzの周波数を用いることで33メートルの伝送距離を実現した.また,ビデオデータをJPEG2000符号化を用いて圧縮し,かつ,誤り耐性機能を持たせることにより,無線伝送での誤りの影響を低減しつつ,1.2Gbpsの伝送速度での伝送を可能としている.シミュレーションにより,本システムの有効性を示し,リアルタイムアプリケーションの実例を示す.