著者
佐々木 翔 林 孝雄 金子 博行 佐々木 梢 臼井 千惠
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.51-56, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
8

【目的】斜視手術中に測定が可能な新しい回旋偏位測定装置「Cyclophorometer」を開発し、麻痺性斜視に対して術中に回旋偏位を測定した。斜視手術中に回旋偏位の測定を行う意義、および術後の経過について検討したので報告する。【対象・方法】回旋複視を自覚する斜視患者7例(男性3例、女性4例、平均年齢57.6歳)を対象とした。斜視の内訳は片眼上斜筋麻痺3例、片眼上直筋麻痺1例、片眼動眼神経麻痺1例、球後麻酔後の眼球運動障害1例、原因不明1例であった。各症例に対し、斜視手術前、術中、術終了時、術後10日目、術後3か月目に本装置を用いた回旋偏位の測定を実施した。【結果】斜視手術前の眼位は全例が外方回旋(Ex8°~Ex18°)を示し、平均Ex10.9°±3.8°であった。手術は局所麻酔下で術中に残余回旋斜視角を確認しながら行い、7例中3例において術中の回旋偏位測定結果を元に術量を変更した。手術終了時の回旋偏位は平均Ex1.3°±2.0°で、手術後10日目の回旋偏位は平均Ex2.7°±2.4°、手術後3か月後では平均Ex3.1°±2.3°であった。手術前は全例で複視を認めたが、術直後と術後10日目では全例が消失し、術後3か月でも7例中6例が複視消失の状態を維持した。【結論】本装置を用いて斜視手術中に回旋偏位の測定を行うことで、その場で術式の変更や追加の判断をすることが容易となった。本装置の術中利用は、手術回数を最小限にとどめ、術後の良好な眼位を保つために有効であると思われた。
著者
秋山 優子 大熊 志保 平石 剛宏 金子 博行 林 孝雄 溝田 淳
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.119-122, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
10

片眼視力障害者の視力不良性外斜視に対し、手術を施行することはよく行われるが、両眼の失明者に対して手術が施行された症例の報告は、我々が調べ得た限りではみられなかった。今回両眼失明者の外斜視(外転偏位眼)に対して手術を行い、患者の精神的なQOL(quality of life)が向上した1例を経験したので報告する。 症例は61歳男性。ベーチェット病による続発性緑内障にて両眼失明。左眼は失明後に有痛性眼球癆となり、眼球摘出後に義眼を装着している。今回、残存している右眼が徐々に外転位に偏位し始め、他人からの指摘が気になったため、本人の強い希望にて眼位矯正手術を施行した。術後眼位は良好となり、患者本人の精神的な負担がなくなりQOLの向上に繋がった。 結論として失明眼による外転偏位眼に対しても、本人の希望があれば患者のQOL向上のため、今回のような手術を行うことは有用であると思われた。
著者
秋山 優子 大熊 志保 平石 剛宏 金子 博行 林 孝雄 溝田 淳
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.119-122, 2012

片眼視力障害者の視力不良性外斜視に対し、手術を施行することはよく行われるが、両眼の失明者に対して手術が施行された症例の報告は、我々が調べ得た限りではみられなかった。今回両眼失明者の外斜視(外転偏位眼)に対して手術を行い、患者の精神的なQOL(quality of life)が向上した1例を経験したので報告する。<BR> 症例は61歳男性。ベーチェット病による続発性緑内障にて両眼失明。左眼は失明後に有痛性眼球癆となり、眼球摘出後に義眼を装着している。今回、残存している右眼が徐々に外転位に偏位し始め、他人からの指摘が気になったため、本人の強い希望にて眼位矯正手術を施行した。術後眼位は良好となり、患者本人の精神的な負担がなくなりQOLの向上に繋がった。<BR> 結論として失明眼による外転偏位眼に対しても、本人の希望があれば患者のQOL向上のため、今回のような手術を行うことは有用であると思われた。