- 著者
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金子 絵里乃
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.68-81, 2016-02-29 (Released:2018-07-20)
本研究の目的は,患者との死別体験が日常的にある緩和ケアにおいて,援助者(ソーシャルワーカー,看護師,医師)がどのようなグリーフを抱え,グリーフにどのように対応しているかを明らかにすることである.インタビューの結果,援助者は「申し訳なさ」,「無力感」,「喪失の類似体験」,「不安感」というグリーフを抱え,「患者と心理的な距離感を保つ」,「同僚と語り合い肯定的に受けとめ合う」,「患者からの学びを仕事に活かす」,「自覚して揺れ動く」,「他の援助者に託す」ことを通してグリーフに対応していることが明らかとなった.これらの研究結果をもとに,援助者のグリーフとその対応にはどのような共通性があるか,また,ソーシャルワーカーが抱えるグリーフとその対応にはどのような特有性があるかを考察した.