著者
勝村 哲也 古勝 隆一 木島 史雄 金文 京 松原 孝俊 矢木 毅 小林 博行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

朝鮮渡来漢籍の調査を行うのが目的であるが、今回は特に対島の宗家が所蔵し、厳原の長崎県立対島民族資料館に寄托されている漢籍と朝鮮版漢籍の調査をおこなった。その結果これらの典籍は、17世紀の中葉約50年間の間に渡来したものであり、ことにこの時期に朝鮮で出版された漢籍が集中的かつ良好に保存されている、極めてめずらしいケースであることが判明した。続いて建仁寺の両足院に保存されている対島府中の以酊庵(いていあん)関係文書(朝鮮との外交文書)・地図と南禅寺金地院文書(以酊庵に輪番として派遣された五山僧の記録)の全貌を把え、全文書を撮影した。これは研究者にとって極めて貴重な基礎資料となるものである。続いてカリフォルニア大学バークレイ校の東アジア図書館で調査し、旧三井文庫(新町三井)等わが国から当地に流出した資料約3000点を見出した。折りよく在外研究にめぐまれた九州大学の松原孝俊教授に紹介し、同教授によって調査が進められている。その結果も本研究に反映しうる。次にこうした資料をウェブによって公開利用に供するためのシステムを開発した。現在島根県立大学で試験的に運用しているウェブ・リトリーバル・システムがそれであって、このシステムによって、内外の諸機関のデータベースと相互に検索を行い、ウェブ上で検討に付することが可能になった。これも研究による大きな成果である。そのURLは以下である。http://ekanji.u-shimane.ac.jp/webusers/jsp/xmlweb/databases.jsphttp://nohara.u-shimane.ac.jp/dicl 204/dic-index.html