著者
金武 潤
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

連続データの特性を生かした死後経過時間推算アルゴリズムの開発を目的として、新たに直腸温2次元温度分布測定用センサーを投入した実験系の構築を目指した。(1)2次元温度分布センサーの作製複数の熱電対を内装した専用装置を設計・作製し、寒天モデルを使用してその妥当性を確認した。肛門部から2cm間隔で8点を同時に測定することにより、長軸方向の温度分布を詳細に捉えることが可能となった。(2)可搬型疑似生体モデルの開発腰部マネキンモデルを作製し、長軸方向温度分布データの採取に成功した。しかし、全装置重量が20kgを超え、可搬ではあるものの死体発見現場に容易に持ち込み可能な水準ではない。モデル構成成分・材質等のさらなる検討が必要であり、またセンサー部とデータ解析・蓄積部の無線・赤外線通信等による分離の必要性が認められた。(3)ヒト死体温データの採取実験計画通り、宮城県下の5署に新たに開発され高分解能型小型温度データロガを配備し、剖検予定の死体を対象に直腸温データの採取を行った。従来法に比べ高精度の解析が可能となり、変曲点抽出が可能となった。一部は鑑定に採用し嘱託者に還元した。(4)実験動物を対象とした直腸温データの採取当初、小型動物としてウサギ、大型動物としてシカを対象に計画していたが、上記(1)・(2)の開発計画の遅れから、シカを対象にした予備実験のみ実行した。高分解能型小型温度データロガを用いて、3点計測によりシカ直腸温を採取した。長軸方向の温度分布が観察され、本研究の目的にかなったデータ採取が可能であることが確認された。