著者
針塚 進 吉川 昌子 大靏 香 森田 理香
出版者
筑紫女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

学童保育支援員および学童保育巡回相談員(臨床心理士・スクールカウンセラー)に学童保育のあり方に関する質問紙調査を行った。その結果、「対応に難しさを感じる子どもの特徴」は、「他者への加害行動」が最も強く、「自己中心・自己制御困難」、「遊びが中心で学習困難」「不注意」であった。支援員が必要だとしていたことは、「支援員相互の連携」「専門家の支援」「保護者や担任・学校との連携」であり、「支援員の資質向上」の必要性も求められた。また、「支援員」「相談員」共に「学校・担任」と及び地域との連携の必要性を強く感じていた。カウンセラーは、支援員への助言や支援が十分でないと考えていた。
著者
志方 亮介 田中 沙来人 古賀 聡 針塚 進
出版者
九州大学大学院人間環境学府附属総合臨床心理センター
雑誌
九州大学総合臨床心理研究 (ISSN:21856974)
巻号頁・発行日
no.9, pp.19-30, 2018-03-22

本研究の自的は,過剰適応に着目した青年期の適応様式と精神的健康との関連を明らかにすることであった。最初に,自己認知と反映的自己認知に着自し,青年を対象に適応様式の類型化を試みた。本研究では青年560名を対象に質問紙調査を行った。調査するにあたり過剰適応認知尺度と自己肯定感尺度を作成し実施した。過剰認知尺度について,己認知に基づく得点と反映的自己認知に基づく得点との差を算出し,クラスタ分解による類分化を行った。その結果5つの群に分類することが出来た。さらにその類型による自己肯定感の差異について検討を行った。その結果,反映的自己認知において過剰適応的であると認知しているが自己認知においては過剰適応的であると認知していない群において,充実感や自己受容,自己実現の傾向が高いことが示された。他方,自己認知において過剰適応であると認知しているほど自己肯定感が低いことが明らかになった。本研究の結果から,青年の対人関係における適応様式を検討する際には,自己認知のみならず,反映的自己認知にも着目し検討を行う有効性が示唆された。
著者
針塚 進 古川 卓
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

軽度の痴呆化した高齢者が対人関係場面において、他者の情動理解をどのようにするのかを明らかにするため、対人関係投影法テストを作成した。この対人関係投影法テストは、痴呆化によって衰える「記名力」や「記憶力」を測定するためのテストではなく、対人関係場面における、人の情動理解力を測定するものである。そのために、対人関係場面を描いた図版を11枚作成した。このテストの標準化のため、20代の若者、在宅高齢者、介護老人保健施設入所者を対象にデータを収集し、被験者が投影するであろう情動の種類と内容の標準反応を特定化した。テストの標準化は継続研究となった。さらに、情動理解と情動表出を検討するため施設入所高齢者を対象とした対人交流場面を以下のように構成した。(1)「動作」法による(リラクセーションを中心とする)相互的関わりを行う場面。(2)「行為」による(回想法グループ活動において高齢者が回想した場面に基づいたロール・プレイング)相互的関わりを行う場面。(3)標準的なコミュニケーション場面(動作も行為も積極的には用いない、回想法グループ活動場面、動物や風景の写真を見ながらの会話場面)。(4)写真刺激による回想法的場面。以上の結果は、次の通りである。(1)で動作法によって高齢者のうつ状態が減少した。(2)では回想法にロール・プレイングなどの行為化を導入したことで情動理解や情動表出が増加した。(3)では実施前後において、高齢者のテスト反応に変化が見られなかった。(4)では軽度痴呆化状態の高齢者は、「ひまわり」「海」「赤ちゃん」等の写真に対してポジティブな情動反応を示したが、「犬」などのペットになるような動物等には余り示さなかった。