著者
釣 雅雄
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_63-2_81, 2011 (Released:2011-03-16)
参考文献数
4

2010年3月に策定された新たな「食料•農業•農村基本計画」でも見られるように,我が国の農業政策において食料自給率が一つの政策目標とみなされている。しかしながら,食料自給率は需要と供給のそれぞれの面における様々な食糧事情の結果表れる数値である。それ自体を目標にしてもその手段は無数にあるため,具体的にどの面の強化が望ましいのかの議論が必要である。本稿では食料自給率を供給面と需要面から考察し,その上で現在の農業政策を分析する。代替の弾力性を回帰分析した結果,米と小麦の間の弾力性は小さいかむしろ補完性があり,米と肉類との間の代替の弾力性の方が大きいことがわかった。本稿の分析から戸別所得補償制度は米作の保護政策ともなっており,大幅な転換が生じるとは考えにくい。仮に供給面での転換が可能であったとしても,それが必ずしも需要に対応していない。需要面ではこれまで,米の生産減少分は肉類の増加によって代替されてきており,米から飼料用作物への転換の方がより農地などの限られた資源を効率的に利用することになる。
著者
釣 雅雄
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

政府債務が増大した我が国においては,政府が破綻することなく財政運営を行いつつ,効率的な財政政策を行う必要がある。しかしながら,社会保障費の増大や,地方交付税交付金などに代表される地方への国の役割が固定化された状況では,財政政策の自由度は限られている。さらに,政府債務の増大によって,今後利子率が上昇した場合には,国債費の増大などが生じ,さらに財政状況は悪化する。このような中で,中期的な財政政策運営を行うことの意義を財政政策ルールという視点から分析を行った。