著者
鈴木 南帆子 青柳 まゆみ
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.11-19, 2021-03

本稿では、立体・面・線など多様な表現方法を含み、それらの相互の関係性の理解の向上を図る触地図教材を作製し、盲学校の教員へのインタビュー調査を通して、その有効性について検討した。触地図教材は、建物とその周辺環境を対象とし、建物の立体・面・線の表現とその周辺環境の表現の4つの表現方法を含むものである。これら4つの表現方法はそれぞれの関係性をわかりやすくするため、すべて1つの地図盤の上で表現し、磁石による取り外しを可能にした。盲学校の教員へのインタビュー調査では、「変化がわかりやすい」「自分で教材を操作することで関係性がわかりやすくなる」などの意見があった。また、1つの地図盤の上にすべての表現方法を含ませるということについては、7名中5名の盲学校教員から、良いという評価が得られた。以上より、本稿で作製した教材は、地図の多様な表現方法やその関係性の理解を高めることに有効である可能性が示唆された。
著者
鷹嘴 亜里 飯嶋 一侑樹 森谷 祐介 鈴木 南帆 倉橋 慎太郎 山川 信子 高橋 若生
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.30-34, 2019 (Released:2019-07-10)
参考文献数
9

身体疾患で入院した認知症患者に対する認知症ケアサポートチーム(以下ケアチーム)の役割について検討を行った.対象は,ケアチームが介入した65歳以上で,かつ認知症生活自立度III以上の130例(平均年齢86±6歳)とした.入院の原因は肺炎,骨折が多く,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)が67%の症例で認められた.ケアチームによる介入は入院後平均9.1日で開始され,介入期間は平均34.0日間であり,その内訳は看護ケア単独57%,看護ケア+薬剤調整40%,前者+家族指導3%であった.介入終了時,BPSDは改善64%,不変35%,悪化1%の割合であった.自宅から入院した症例のうち,退院後自宅へ戻ったのは46%で,54%は転院もしくは施設に入所した.BPSDを伴う認知症の入院患者に対しては,認知症の専門知識を持った多職種からなるケアチームのサポートが有用と思われる.