著者
高橋 若生 祢津 静花 湯谷 佐知子 水間 敦士 植杉 剛 大貫 陽一 瀧澤 俊也
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.219-225, 2016 (Released:2016-07-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

【目的】感染性心内膜炎infective endocarditis (IE)に伴う脳卒中の特徴を明らかにする目的で,IE の発症から治癒するまでの間に合併した脳卒中について検討した.【方法】IE の入院患者90 例(平均63.8±17.4 歳)を対象とし,各種臨床因子について後方視的に検討した.【結果】25 例(28%)に脳卒中(脳梗塞18 例,脳内出血5 例,くも膜下出血2 例)が認められた.脳卒中群は非脳卒中群に比し退院時modified Rankin Scale 3 以上の例が有意に多かった(52% vs 28%,P=0.046).脳梗塞は多発性の大脳皮質枝領域梗塞が多く,脳内出血は全例が多発性であった.脳梗塞はIE の病初期に発症した例が多かったが,脳出血およびくも膜下出血は多くが入院後に発症していた.【結論】IE は脳卒中の合併がまれでなく,特に脳梗塞はIE の病初期に発症する場合が多いことが明らかになった.
著者
鷹嘴 亜里 飯嶋 一侑樹 森谷 祐介 鈴木 南帆 倉橋 慎太郎 山川 信子 高橋 若生
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.30-34, 2019 (Released:2019-07-10)
参考文献数
9

身体疾患で入院した認知症患者に対する認知症ケアサポートチーム(以下ケアチーム)の役割について検討を行った.対象は,ケアチームが介入した65歳以上で,かつ認知症生活自立度III以上の130例(平均年齢86±6歳)とした.入院の原因は肺炎,骨折が多く,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)が67%の症例で認められた.ケアチームによる介入は入院後平均9.1日で開始され,介入期間は平均34.0日間であり,その内訳は看護ケア単独57%,看護ケア+薬剤調整40%,前者+家族指導3%であった.介入終了時,BPSDは改善64%,不変35%,悪化1%の割合であった.自宅から入院した症例のうち,退院後自宅へ戻ったのは46%で,54%は転院もしくは施設に入所した.BPSDを伴う認知症の入院患者に対しては,認知症の専門知識を持った多職種からなるケアチームのサポートが有用と思われる.
著者
高橋 若生
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10503, (Released:2017-02-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

感染性心内膜炎(infective endocarditis: IE)は多彩な合併症を伴うが,脳血管障害は代表的な合併症である.虚血性脳卒中はIE における神経合併症の半数以上を占め,出血性脳卒中は6~18%に相当する.IE に伴った脳卒中はIE の病初期に発症することが多く,しばしばIE の初発症状となる.脳梗塞の大半は皮質枝領域に認められ,脳内出血は皮質下の多発性の血腫として認められる.また,神経症候を有さない症例においても,無症候性脳梗塞やmicrobleeds を含む無症候性出血性病変を伴うことが少なくない.IE に伴った脳卒中は,Staphylococcus aureus を起炎菌としたIE で発症頻度が高く,心エコーで検出される疣贅のサイズが発症リスクと関連する.