- 著者
-
保高 徹生
辻 英樹
今藤 好彦
鈴木 安和
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.6, pp.499-506, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
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8
10
プルシアンブルー粒子担持不織布を充填したカートリッジに溶存態放射性セシウム(Cs)含有水を通水し,カートリッジに吸着させ,濃縮することにより,環境水中の溶存態放射性Cs濃度を迅速にモニタリングする技術を開発した.溶存態137Csの濃度を0.005~5 Bq L−1の範囲に調整した水を用いた試験の結果,通水速度が2.5 L min−1の場合,第1・第2カートリッジの137Csの回収率は20 L通水で90% 以上,100 L通水で83% 以上となった.また,通水速度を0.4 L min−1とした場合には,第1カートリッジの回収率が88% 以上に達した.本方法により,20 L濃縮を約10分,100 L濃縮を約50分で行うことが可能となる.また,ゲルマニウム半導体検出器の定量下限は20 L濃縮の4000秒測定で0.03 Bq L−1,100 L濃縮の43200秒測定で0.001~0.002 Bq L−1となり,従来法の前処理方法(20 Lで6時間以上)と比較して濃縮作業の迅速化が可能となる.