著者
城下 智 山下 裕騎 宇佐美 陽子 岩垂 隆諒 奥村 太規 若林 俊一 小林 浩幸 杉浦 亜弓 木村 岳史 梅村 武司
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.603-609, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
21

HCV抗体検査受検者を対象とし,HCV抗体陽性者の残血清を用いてHCVコア抗原を測定し,受診勧奨を行うことの有用性を前向き非介入観察研究で検討した.HCV抗体陽性率は4.4%(390/8,805例)であった.また,HCVコア抗原陽性率は8.2%(31/378例)であり,HCV抗体価10以上群(n=249)では10未満群(n=129)より高かった(11.6% vs. 1.6%,P=0.002).31例中29例で受診勧奨を行った.1例はHCV-RNAの陰性が確認された.残りの28例はウイルス血症が確認され,9例(32.1%)ではDAA治療が予定された.13例(46.4%)ではHCC合併等のためDAA治療の適応がなく,6例(21.4%)ではDAA治療の希望がなかった.HCV抗体陽性者にHCVコア抗原測定法を併用することには,HCVキャリア例の拾い上げと,受診・受療における有用性が期待される.
著者
小林 浩幸 國弘 実 松島 誠一 篠田 鎮嗣
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.867-873,a2, 1999-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

農業集落排水処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用の適否を検証するため,施設に隣接する水田に処理水を灌漑漑,水稲の生育,収量と水質について調査を行った。処理水の灌漑期間は水稲の幼穂形成期から収穫10日前までの約2カ月である。花水にあたる時期10日間については処理水をT-N20~30,T-P2.5~3.5,BOD10~25mg/lに調整した水を灌漑した。生育は概ね正常であり,収量は通常の用水を用いた場合よりも多かった。水田からの地表排出水は,多くの水質項目で改善が認められた。調査結果から,集排処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用は可能であり,併せて若干の水質浄化が期待できると考えられた。
著者
古川 祥子 藤原 和哉 尾本 美代子 村山 友樹 呉 龍梅 笹木 晋 熊谷 亮 五十野 桃子 秋根 大 小林 浩幸 高屋敷 典生 鈴木 浩明 島野 仁 野牛 宏晃
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.913-920, 2014

症例は21歳女性.2年前から繰り返す発熱,倦怠感,頭痛,動悸,嘔気が1ヶ月前より増悪し来院.血圧186/133 mmHg,脈拍106/分,体温38.5 ℃,血液検査上HbA1c 8.2 %,血糖356 mg/d<i>l</i>と糖尿病を認め,CRP 40.21 mg/d<i>l</i>, IL-6 100 pg/m<i>l</i>と高値だった.画像上<sup>123</sup>I-MIBGシンチグラフィーで集積のある7 cm大の左後腹膜腫瘤を認め,カテコラミン・メタネフリン高値であり褐色細胞腫と診断した.ドキサゾシン,プロプラノロールの他,発熱,炎症反応高値に対しナプロキセンを使用した結果,CRP 0.15 mg/d<i>l</i>, IL-6 1.7 pg/m<i>l</i>まで低下した.同時に耐糖能は改善し,インスリン療法を術前に中止し得た.IL-6高値を伴う褐色細胞腫では,ナプロキセンが二次性糖尿病を改善し,高血糖による手術リスクを減少し得ることが示唆された.
著者
三浦 重典 小林 浩幸 小柳 敦史
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.410-416, 2005-12-05
被引用文献数
8 7

東北地域において中耕作業の省略と除草剤使用量の低減を目指したダイズの栽培技術を開発するために, 秋播き性の高いオオムギを利用したリビングマルチ栽培試験を行った.試験は, 2002年及び2003年の2年間実施し, リビングマルチ, 除草剤施用, 中耕の有無を組み合わせた処理区について, 雑草の生育量とダイズの生育・収量を調べた.2002年及び2003年ともに, リビングマルチ栽培では, 5月下旬にダイズと同時に条播したオオムギ(品種: べんけいむぎ)は, ダイズ(品種: タチナガハ)より3日早く出芽し, 6月下旬頃まではダイズの草高を上回っていたが, 7月上旬頃から葉が黄化し始めて8月上旬にはほぼ枯死した.両年ともリビングマルチ栽培では, 中耕作業や除草剤土壌処理を省略しても高い雑草防除効果が認められた.また, リビングマルチと除草剤を組み合わせた区では, リビングマルチのみで除草剤を使わなかった区より雑草乾物重が少なく, 両者の組み合わせにより雑草抑制効果は高まった.リビングマルチ栽培におけるダイズの収穫時期の乾物重は, 2002年は慣行栽培とほぼ同じで2003年は慣行栽培より劣った.しかし, 両年とも稔実莢数と百粒重が慣行栽培と同程度であったため, ダイズの子実収量はリビングマルチ栽培と慣行栽培との間で有意差が認められなかった.東北地域では, オオムギをリビングマルチとして利用することで, 倒伏の危険性は若干高まるものの, ダイズ作における中耕や除草剤土壌処理が省略可能であると判断された.