著者
鈴木 幸恵
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.121-126, 2015 (Released:2015-06-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

目的 : DNAR意思表示のある終末期がん患者の臨死時に救急車要請となった理由を救急救命士へのインタビューにより把握した内容から明らかにする.方法 : 某都道府県の救急救命士19名への半構成的面接. 音声録音により逐語録を作成し, 質的分析を行った.結果 : DNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となった理由として, 《DNARに関する社会的整備が未確立》, 《救急車の役割に対する認識不足》, 《看取りのための医療支援が不十分》, 《介護施設での看取り体制が不十分》, 《救急隊に頼れば何とかなるという認識》, 《在宅死を避けたい家族の思い》, 《家族の動揺》の7つが明らかとなった.結語 : DNARに関する社会的整備未確立の背景があり, DNARの意思を尊重した看取りへの医療支援が不十分であることや家族側の要因によってDNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となることが示唆された.
著者
倉茂 好匡 池尻 公祐 鈴木 幸恵 平川 一臣
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 = Transactions, Japanese Geomorphological Union (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.131-149, 2005-04-25
参考文献数
19

当縁川流域での農業開墾は1894年に開始され, その後この流域内の農地面積は1930年ごろより激増した.一方, 当縁川下流部にある湿原内では1986年から1920年の間に蛇行流路の切断が生じ, このため開墾開始後に運搬されてきた土砂が新流路側方に堆積して自然堤防を形成した.この自然堤防堆積物の層序構造観察とその粒径組成および137Cs濃度の分析を行った結果, 砂質物質の堆積が1930年代終わりごろより開始されたのに対し, それ以前の堆積物はシルト質のものであることが判明した.この砂質堆積物に対して粒径分布トレーサー法を用いてその給源を推定したところ, 砂質堆積物は支流である忠類幌内川流域から主に流出してきていることがわかった.また, 本流のうち1980年代に直線化された区間も砂質堆積物の重要な給源となっていた.それに対し, 本流上流部からの砂質堆積物の供給量は少なかった.忠類幌内川流域の農地は, 第三紀層よりなる豊頃丘陵を刻む谷の谷底部付近にのみ存在している.それに対し, 本流上流部の農地は扇状地上に存在する.これらのことから, 特に豊頃丘陵の谷底部で行われた集中的な農地開墾が大きな砂質堆積物流出を招いたと判断した.
著者
福田(日原) 桂 伊與田 雅之 齋藤 友広 荒井(布田) 典子 和田 幸寛 鈴木 幸恵 木崎 順一郎 恩田 秀寿 高橋 春男 柴田 孝則
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.379-385, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
22

症例は30歳代の女性. 4日前から右眼球運動痛, 右歪視症, 右眼下方視野狭窄を認め, 近医を受診した. 同日夜間から右眼の急速な視力低下がみられ, 指数弁まで低下した. 血液検査では抗アクアポリン4 (aquaporin-4: AQP4) 抗体陽性, 眼窩造影MRIにて右視神経に高信号を認め, 視神経脊髄炎関連疾患, 中でも抗AQP4抗体陽性視神経炎と診断した. 近医にてステロイドパルス療法を2クール施行, 後療法としてプレドニゾロン40mg/日の内服を開始したが, 視力, 視野の改善は得られず, 血漿交換療法施行目的に当院転院となった. 計7回の二重膜濾過血漿交換 (double filtration plasmapheresis: DFPP) を施行し, 抗AQP4抗体は陰性化, 視力改善, 視野の拡大を認めた. DFPPはステロイド治療抵抗性の抗AQP4抗体陽性視神経炎に有用な治療法の一つであると考えられた.