著者
鈴木 洋昭
出版者
岐阜女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

戦後四十数年間の岐阜県議会議員の社会的属性の分析を中心とした地方議員の利益代表性についての研究を更に発展させて、地方政治を支えあるいは動かしてきた「地方名望家層」-具体的には酒造業を営む地方の名士-の変容に焦点をあてて、岐阜県の政治文化を分析し、社会学的な考察をくわえてきた。平成元年度の研究は、当初の研究目的に従い、研究計画どおりの方法で実施してきた。前年度の研究において、当初から予想されたとおり、本研究にとって重要な基礎的資料の収集、とくに政治的パトロン関係の資料収集が困難であった為に、本年度の研究は、(1)酒造業者の家系の歴史的調査,(2)酒造業者の家系をたどり、メンバ-の経歴分析のなかでの政治的役職者の調査、(3)政治的パトロン関係の調査の(1)〜(3)の調査の資料整理をおこない、研究結果のまとめをおこなった。以下、平成元年度の研究結果のまとめを記しておく。大衆政党の出現が地方名望家の政治参加に大きな変化をもたらしたことは周知の事実であるが、岐阜県内においても、政治家の輩出基盤としての酒造業者に変化がみられる。昭和63年度の研究結果のまとめとして、酒造業者の政治参加には三様の関わり方があることを指摘したが、最近の傾向として、自ら政治に参加するのではなく、政治家とパトロン関係をもつことによって政治に参加する方向へと変化がみられる。そして、その変化は政治家の職務の専門化等に対応した政治家自身の特性の変化によるばかりではなく、経営規模の変化や経済成長との関わりのなかでの変化によるものであることを指摘したい。
著者
鈴木 洋昭
出版者
大阪樟蔭女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究によって得られた研究成果は次の通りである。1.海外日本人学校での勤務による教員の異文化体験は、実に91.6%の教員の教育観を変化させている。国際理解教育に対する教育観の変化は、帰国後の活動の中に現れている。2.日本人学校で勤務を経験した教員の異文化体験を活かすには時間が必要である。帰国後の教員は仕事内容の変化と3年間の海外生活による日本社会への順応に苦労するが、そんな状況でも異化体験を活かすべく努力している。3.異文化体験が現在の勤務校において活かされている教員は、実に様々な場で活躍されている。反対に活かされていない教員も異文化体験を活かすべく努力している。国際理解教育の場で勤務経験を活かしたいとほとんどの教員が思っている。4.異文化体験よりも、帰国後の受け入れ状況が、態度変容に大きな影響を与えている。受け入れ側の対応により、帰国教員の異文化体験を充分に活用できない状況がある。そのため、日本人学校における勤務経験を公にしない教員が存在する。また、その家族についても、派遣教員が帰国後の心配をしなくてすむ配慮が必要である。今後は、海外在留邦人子女教育機関が、いかに現地の社会や文化に国際貢献をしているかという新しい視点から、海外日本人学校の真の姿を明らかにしたい。