著者
松島 友二 鈴木 琢磨 八島 章博 白川 哲 鈴木 丈一郎 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.306-313, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
28

目的 : 極細毛を用いた手用歯ブラシは, 極細毛が歯周ポケット内に到達し, 歯周ポケット内のプラークコントロールに効果があるとされているが, 手用歯ブラシでは細かな振動を与えることが困難で, 極細毛の効果を十分に発揮することができないと考えられる. 本研究では, 微細な振動を与える音波歯ブラシに極細毛を応用した場合のプラーク除去効果, 歯周ポケット内の細菌叢の変化および歯肉に対する傷害を調べることを目的とした.  材料と方法 : 実験には段差の異なる極細毛3種類と手用極細毛歯ブラシを用いた. 被験者は, 歯肉炎または軽度歯周炎を有する歯周病患者52名を対象とした. この52名を無作為に4群に分け, 0週, 2週および4週後に歯肉擦過傷, 歯肉溝滲出液量, ポケット深さ, BOP, GI, PCR値を測定した. また, 歯周病患者18名について段差3mmの極細毛歯ブラシを音波歯ブラシおよび手用歯ブラシで用い, 使用前後のポケット内細菌をPCR-Invader法で測定した.  結果 : すべての歯ブラシにおいて歯肉への傷害は軽微であった. また, プラーク除去および歯肉の炎症改善は, 各歯ブラシ間に有意差を認めなかった. 段差3mmの極細毛を音波歯ブラシで用いた場合, 有意に細菌の減少が認められた.  考察 : 極細毛を応用した音波歯ブラシは, ポケット内のプラークコントロールに有効であると考えられた. さらに歯肉傷害は少なく, 安全に使用できることが確認された.
著者
八島 章博 鈴木 琢磨 松島 友二 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.314-320, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
23

目的 : 音波歯ブラシは高振動によるキャビテーション効果により, 毛先から離れた部位のプラーク除去にも効果があるとされるが, 深い歯周ポケットに対してはその効果を十分発揮するのは難しい. しかし, 歯周ポケット内の歯周病原細菌をコントロールすることはきわめて重要であると考えられる. そこでわれわれは, 音波歯ブラシと水流洗浄器を併用した場合の歯周ポケット内細菌に与える影響について検討した.  材料と方法 : 4~5mmの歯周ポケットを有する患者18名を無作為に2群に分け, 実験群は被験歯に音波歯ブラシで頰側・口蓋側から10秒ずつブラッシング後含嗽し, 水流洗浄器で頰側・口蓋側から10秒ずつ洗浄を行った. 細菌は術前後に採取した. 対照群は音波歯ブラシでブラッシング, 含嗽後に細菌を採取した. 採取した細菌はPCR-Invader法にて, 定量・定性分析を行った.  結果 : 個々の歯周病原細菌の術前後の菌数変化に有意な差を認めなかったが, 全歯周病原細菌の平均で評価すると, 実験群では術前と比較して術後に有意な減少を認めたのに対し, 対照群では有意差を認めなかった. また, 歯周病原細菌数の減少率を比較すると, 実験群は対照群に比べて約4倍の歯周病原細菌の除去効果が認められた.  考察 : 以上の結果より, 音波歯ブラシによる液体流動力と水流洗浄器が発生させるバブル水流の併用は, 歯周ポケット内の歯周病原細菌の除去に有効であることが示唆された.