著者
李 文昭 塩野 宗則 鈴木 丈一郎 武山 和夫 片井 秀典 野村 典生 新井 高 中村 治郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.252-262, 1986-03-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2 4

歯周初期治療におけるO'Learyらのプラークコントロールレコードの推移を分析する目的で本研究を行った。被検者は比較的軽度から中等度の歯周疾患患者156名 (女98名, 男58名) であった。TBI毎にブラッシング方法と時間, O'Learyらのプラークコントロールレコードなどを記録し, 10%を目標に指導した。結果は, 術前のブラッシング法で一番多いのはスクラッビング法であり, 術前のブラッシング時間は3分以下が72 %と圧倒的割合であった。プラークスコァ20%へは92%の患者が達成でき, TBI回数は4.6回, ブラッシング時間は8.6分であった。プラークスコア10%へは58%の患者が達成でき, TBI回数は5.9回, ブラッシング時間は9.8分であった。部位別では下顎, 右側, 臼歯部, 近心, 舌側, 近遠心部が磨きにくい傾向が見られ, 特に臼歯部, 舌側, 近遠心部が極端に磨きにくかった。
著者
八島 章博 鈴木 丈一郎 田村 紗恵子 松島 友二 五味 一博 新井 髙
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.159-167, 2015-12-28 (Released:2015-12-29)
参考文献数
34

近年,音波歯ブラシが一般に普及している。音波歯ブラシの利点は高振動数によりプラーク除去効率に優れ,歯周ポケット内細菌に影響を与えていると考えられる。しかし,音波歯ブラシの歯周ポケット内細菌への影響を評価した研究は少ない。本研究では,音波歯ブラシのプラーク除去効果と臨床パラメータの変化,歯周ポケット内細菌への影響について評価した。振動数の異なる音波歯ブラシ3種と手用ブラシを無作為に40名の被験者に割り振り,使用前,2, 4週後に臨床パラメータ(Probing Pocket Depth, Gingival Bleeding Index, Gingival Index)とPlaque Control Recordを評価した。歯周ポケット内細菌はPCR-Invader法により総菌数と歯周病原細菌数を評価した。全歯ブラシで,ベースライン時に比べ,4週後のPlaque Control Recordと臨床パラメータで改善傾向を認めた。歯周ポケット内細菌は,いずれの歯ブラシでも総菌数の顕著な変化はみられなかったが,歯周病原細菌の中には音波歯ブラシの使用によって減少傾向を示す細菌種も存在した。以上より,どの歯ブラシを用いても縁上プラークの減少と臨床パラメータの改善が認められ,一定の効果を有することが示された。また,音波歯ブラシは,歯周ポケット内細菌叢に影響を与える可能性のあることが示唆された。
著者
渋川 直也 五味 一博 飯野 史明 金指 幹元 鈴木 丈一郎 大島 朋子 前田 伸子 新井 高
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-90, 2003-08-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
39
被引用文献数
3

Azithromycin is an azalide antibiotic, which has a strong effect on a wide variety of oral bacteria. It is taken up by phagocytes and is released over a long period in the inflamed tissue. This study investigated the clinical and microbiological effects, and measured the drug concentration in gingival of periodontal patients systemically administered azithromycin. The subjects were 26 adults diagnosed with periodontitis and given azithromycin (zithromac®) 500 mg once daily for 3 days. Clinical parameters such as PD, GI, BOP and GCF were examined at days 0, 7, and 14, and subgingival plaque was collected by paper points at days 0, 4, 7 and 14. The total number of cultivable bacteria was counted and six of the periodontopathic bacteria —Porphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomysetemcomitans, Bacteroides forsythus, Prevotella intermedia, Prevotella nigresence, and Toreponema denticola—were assessed by the PCR method. The lining gingiva of periodontal pocket was collected by pocket curettage at days 4 and 7. The azithromycin concentration was measured by agar diffusion bioassay.The total number of bacteria was significantly decreased at days 4 and 7, but was slightly increased at day 14. Continuous reduction of the six bacteria was recognized until day 14 by PCR. These bacteria were not detected at day 14 without Porphyromonas gingivalis. This result might be due to improvement of anaerobic condition caused by pocket reduction. The azithromycin concentration in the lining gingival tissues of periodontal pocket was 2.92±1.97μg/g at day 4 and 1.27±0.95μg/g at day 7. Half the drug concentration was still detected at 7 days after the first administration in inflamed gingiva.These results indicate that azithromycin may be a useful adjunct agent for adult periodontitis. In the future, we will consider a new periodontal therapy using this behavior of azithromycin.
著者
松島 友二 鈴木 琢磨 八島 章博 白川 哲 鈴木 丈一郎 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.306-313, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
28

目的 : 極細毛を用いた手用歯ブラシは, 極細毛が歯周ポケット内に到達し, 歯周ポケット内のプラークコントロールに効果があるとされているが, 手用歯ブラシでは細かな振動を与えることが困難で, 極細毛の効果を十分に発揮することができないと考えられる. 本研究では, 微細な振動を与える音波歯ブラシに極細毛を応用した場合のプラーク除去効果, 歯周ポケット内の細菌叢の変化および歯肉に対する傷害を調べることを目的とした.  材料と方法 : 実験には段差の異なる極細毛3種類と手用極細毛歯ブラシを用いた. 被験者は, 歯肉炎または軽度歯周炎を有する歯周病患者52名を対象とした. この52名を無作為に4群に分け, 0週, 2週および4週後に歯肉擦過傷, 歯肉溝滲出液量, ポケット深さ, BOP, GI, PCR値を測定した. また, 歯周病患者18名について段差3mmの極細毛歯ブラシを音波歯ブラシおよび手用歯ブラシで用い, 使用前後のポケット内細菌をPCR-Invader法で測定した.  結果 : すべての歯ブラシにおいて歯肉への傷害は軽微であった. また, プラーク除去および歯肉の炎症改善は, 各歯ブラシ間に有意差を認めなかった. 段差3mmの極細毛を音波歯ブラシで用いた場合, 有意に細菌の減少が認められた.  考察 : 極細毛を応用した音波歯ブラシは, ポケット内のプラークコントロールに有効であると考えられた. さらに歯肉傷害は少なく, 安全に使用できることが確認された.
著者
渡辺 久 石川 烈 小勝 弘明 宮下 元 鈴木 丈一郎 新井 高 中村 治郎 岡田 昭五郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.711-718, 1993-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
27

ポビドンヨード配合歯磨剤の有用性を検討するために, ポビドンヨード, 酢酸トコフェロール, 塩化ナトリウム, エピジヒドロコレステリンを配合した薬用歯磨剤「PIP」と既に有用性が認められているグルコン酸クロルヘキシジンを配合した同種の薬用歯磨剤「NP」との比較を51症例につき臨床評価を行った。その結果, 薬用歯磨剤「PIP」は使用開始2週間目および4週間目で「NP」と比較して全症状で改善点数が優り2週間目では腫脹に, 4週間目では出血に有意差がみられた。有効率については2週間目で「PIP」59%, 「NP」39%, 4週間目で「PIP」78%, 「NP」59%でともに「PIP」が有意に優り, 歯周疾患の予防, 改善に有効であることが示唆された。
著者
鈴木 丈一郎 清水 伸宏 千 錫男 曽 振江 藤井 美弥 伊藤 嘉彦 関 規子 渡辺 孝章 新井 高 中村 治郎
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.929-938, 1992-12-28
被引用文献数
16 2

本研究は,代表的な電動歯ブラシ4種と手用歯ブラシ1種のプラーク除去効果とブラッシング圧について比較検討した。実験は,被験者に本学保存科医局員15名を用い,ブラッシングを行わせ,前後のプラークのスコアーを測定し,プラーク除去率を算出した。ブラッシング圧は渡辺のブラッシング圧測定装置を一部改良し測定した。また,術前術後のO'Learyらのプラークスコアーと為害作用などについてのアンケート調査を行い以下の結果を得た。(1)プラーク除去率は,各種歯ブラシ間に統計学的に有意差は認められなかった。(2)ブラッシング圧は,パワーハブラシ^[○!R]とINTERPLAK^[○!R],プロクトレギュラー^[○!R]とINTERPLAK^[○!R]間に,有意差が認められた(P<0.05)。(3)電動歯ブラシでも,隣接面のプラーク除去は不十分であった。(4)振動型の電動歯ブラシに比べ反転型のほうが歯肉に擦過傷を起こし易かった。
著者
鈴木 丈一郎 中島 啓介 國松 和司 高柴 正悟 原 宜興 和泉 雄一 横田 誠 鴨井 久一 小田 茂 福田 光男 川浪 雅光 野口 俊英
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.162-174, 2007-06-28
被引用文献数
4 3

臨床歯学では,知識だけでなく技能および患者対応を含めた総合的な習得が求められている。そこで今回,今後の歯周病学実習の内容を検討するために各大学の歯周病学実習で行っているOSCEや臨床実地試験問題の実態を把握することを目的とし,全国29歯学部・歯科大学から,臨床前の歯周病学の臨床基礎実習内容と実習運営の現状に関してアンケート調査を行った。調査対象者は,歯周病学を担当する日本歯周病学会理事29名で,歯周病学実習の実態把握のための無記名式の質問票を,平成15年12月に郵送し,平成16年3月10日までに回収を行った。その結果,29校のうち,4年次に実習を開始するところが最も多く,次いで5年次に開始していた。実習の回数は,2回~23回まで幅広い分布を示していた。また,1回の実習時間は,90分から360分の間に分布しており,総実習時間の平均は34.5時間であった。実習の内容としては,過半数の大学が実施しているのは,歯周診査,ペリオチャート・レントゲン診断,ブラッシング指導,スケーリング,歯周外科,咬合調整,暫間固定であった。OSCE形式の課題としては,ブラッシング指導が最も多く,次いで,スケーリング・ルートプレーニングであった。最近の傾向としては,歯周病の病状説明かブラッシング指導に重点が置かれている。OSCEにおける歯周病学の課題は,今後の歯周病学教育の方向性を示すものであり,非常に重要性が高いと考えられる。