著者
鈴木 由佳 金内 神谷 博子 金内 誠 石堂 智子 森田 明 坪田 康信
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.699-705, 2012-09-15
被引用文献数
1

本研究では,消費者の購買意欲と消費者の潜在的な嗜好を検討するため,官能評価およびグループインタビューを行った。(1)成分値的に標準的な市販清酒(大吟醸・吟醸酒,特別純米・純米酒,本醸造酒,生もと・山廃酒,低アルコール清酒)を用いて20~30代,22人による官能評価を行った。(2)「呈昧の嗜好/バランス」,「購買意欲」,「苦味」は,高い相関が見られ,消費者にとって苦味が購買意欲に関与する因子の一つであった。(3)清酒をよく喫飲するグループ(グループI)の「清酒のイメージ」は,「伝統」,「アルコール」,「年配」というイメージであった。あまり清酒を喫飲しないグループ(グループII)の「清酒のイメージ」は,グループIと同様「年配」,「アルコール」,「伝統」のほかに,「高級」であり,吟醸酒などの特定名称酒のイメージが強いことが推察された。(4)グループIの清酒の味のイメージは「甘味」と答える回答が多く,ついで,「アルコール」,「苦味」であった。グループIIの清酒の味のイメージは,「苦味」と答える回答が多く,ついで,「酸味」,「アルコール」で,グループ間に相違があった。また,両グループとも喫飲したくない清酒の味は「苦味」であった。(5)消費者の清酒の価値は,官能的にも,イメージ的にも苦味が関与していることが明らかとなった。つまり,苦味は「呈味の嗜好/バランス」を下げ,結果的に「購買意欲」を低下させる因子の一つであると推察された。
著者
岡田 誠 櫻井 宏明 鈴木 由佳理 才藤 栄一 武田 斉子 岡西 哲夫 加賀 順子 大塚 圭 寺西 利生 寺尾 研二 金田 嘉清
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.209-217, 2002
被引用文献数
4

現在,トレッドミル歩行は,省スペースで連続歩行が可能であるいう理由から,片麻痺患者や脊髄損傷患者などに多く利用されている評価・練習方法である。本研究の目的は,トレッドミル歩行における臨床的応用の予備的検討として,トレッドミル歩行と平地歩行の比較を運動力学的因子,特に床反力に着目して検討することにある。健常成人28名に対し,主観的な判断として「遅い」,「快適」,「速い」の3速度で平地歩行時とトレッドミル歩行時の床反力(垂直分力,前後分力,左右分力)を計測した。両歩行の床反力波形の類似性は,3分力ともに類似性の高い結果となった(r=0,76〜0,95)。床反力波形のピーク値の比較では,垂直分力第3ピーク値と前後分力第1ピーク値において3速度ともトレッドミル歩行の方が有意に低い値を示した(p<0.01)。これらの結果から,トレッドミル歩行と平地歩行には,相違点がいくつか認められたものの,床反力波形の全体としての類似性は高く,事前の予備練習や歩行速度の調整を行い環境的要因のことを考慮した上でトレッドミルを用いれば,有用な代替的手法になると考えられた。